DX人材とは?その課題と必要な資質

DX人材とは?その課題と必要な資質

DX人材とは

DX人材については、明確な定義はありませんが、概ね「最新のデジタル技術を活用して、企業や世の中に価値を提供できる人材」と言われることが多いです。

経済産業省が「DX推進ガイドライン」を作成し、国を挙げてDXを推進する流れが加速していますが、その中でDXとは「企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、競争上の優位性を確保すること」と定義されています。つまりDX人材とは、デジタル技術を活かしてビジネスを変革していく人材とも言えるのではないでしょうか。

DX人材とIT人材の違い

同義語のように思える二つの言葉ですが、両者の違いを理解することも重要です。

DX人材は前述した通り、デジタルとビジネスを両輪で回せる人のことを指します。

IT人材とは、中小企業庁で「ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材のことを言う」と定義されており、情報システム部門といった領域に限定されていると言えるかもしれません。

DX人材の課題

領域を限定されず、様々な部門での活躍が求められるDX人材。多くの企業が求めている反面、人材が非常に少ないことが課題となっています。

「デジタル人材定着に向けたアンケート」(株式会社NTTデータ研究所)では、20代〜40代の社会人の中でDX人材と呼ばれる人材は10%程度という調査結果が出ており、需要に対して供給が間に合わない実情が表れていると言えるのではないでしょうか。

DX人材とは
DX人材の定義はまだ明確になっているわけではありませんが、その需要は日増しに高まっていると言えます。

DX人材の育成

市場で不足しているDX人材は、獲得するだけではなく内部で育成することも並行して行なっていくことが求められます。

しかし、技術的な要素はもちろん、ビジネスに関する要素も伸ばしていく必要があり、育成も簡単ではありません。

特にITに携わる人たちの課題となるのが、実際にデジタルを使ってくれる現場の方々の声を反映することが難しい点が挙げられます。

0か1の世界とも言えるデジタル世界では、ロジックが身についていきますが、現場では感情や想いといったものへの共感が乏しくなりがちです。幅広い部門での活躍が求められるDX人材育成にとっても課題となってくるでしょう。

DX人材育成のヒント〜デザインシンキング〜

DX人材が乏しくなりがちな共感をベースにしたプロダクト発想法にデザインシンキングがあります。

デザインシンキングの「デザイン」とは、「顧客の視点から問題解決の新しい可能性を発見すること」です。

多くの人や企業が解決したいと願いながらも仕方がないと受け入れている社会的な問題を、新しい可能性を見出して解決することが、デザインシンキングの本質と言えます。デジタル世界のみにとらわれずビジネス世界にも適応するためのヒントとして、デザインシンキングを活用してみるのは一つの手と言えるでしょう。

デザインシンキングのステップ
デザインシンキングはロジカルな考え方に偏りがちなDX人材にとって、幅広い分野で活躍するためのヒントになるかもしれません。

DX人材が活躍する職種

ビジネスプロデューサー

DX化を推進する企業やデジタルビジネスを行う現場で、全体を統括する立場にあるのがビジネスプロデューサーです。

関連する業界に対する知見や経験を含めた高い能力が求められ、現場で多くの関係者をまとめてリードするリーダーシップも求められるでしょう。責任ある重要な立場なので、最高デジタル責任者などの経営に携わる立場の人が担うケースもあります。

ビジネスプロデューサー
DX推進をする現場の中心的な役割を担います。

ビジネスデザイナー

デジタルビジネスを推進していくためのアイデア創出など、事業を構築していく人材です。

企画を立案し、メンバーの意見のまとめ役になるなど、企画の中心的存在として牽引していく役目が求められます。豊富な経験からくるアイデアや市場のニーズを分析して新しい事業を生み出すスキルが必要となるのがビジネスデザイナーです。

ビジネスデザイナー
デジタルビジネスの事業構築のまとめ役を担います。

テックリード(アーキテクト)

システムの設計から実装までを担うリーダー的存在で、リードエンジニアとも呼ばれます。

エンジニアはチームで行動する事が多いため、チームをまとめる人材が必要です。

リーダーという事でマネジメント能力も求められますが、技術に明るくエンジニアリングに対して高い専門性を有している人材である事が多いでしょう。年功序列よりも技術面が需要視される傾向にあるので、若いテックリードが活躍している現場も多くあります。

テックリード
技術さえあれば若手も登用されています。

データサイエンティスト

アルゴリズムや統計など情報科学理論を活用してデータの分析や解析を行える人材です。近年SNSが爆発的に普及したことなど、扱うデータ量が増大し、データ活用の技術が大きな成果を上げていることからニーズの高い職種となっています。特定の領域において人間を超え始めたと言われているAIに対しても、それらのデータを取り扱う事ができるデータサイエンティストの活躍は必須です。

データサイエンティスト
データの分析や解析ははDX推進においても重要となります。

UI/UXデザイナー

UIとはユーザーインターフェースの略で、ユーザーとコンピューターの間で情報をやり取りする様々な機器や入力装置のことを指します。

Webエンジニア界隈ではwebページのデザインやフォントなど、目に見える部分のことを指して使うこともあるようです。

UXとはユーザーエクスペリエンスの略で、ユーザーがサービスで得られる体験を指します。UIとは反対に目に見えないシステム的な部分を多く含んだ箇所と言えるでしょう。

つまるところ、UIデザイナーはユーザーにとって使いやすいデザインをする事が仕事となり、UXデザイナーは楽しい・心地よいなどサービスを通して体感してもらう事が仕事と言えます。

UI/UXデザイナー
WEBサービスを構築する上では欠かせない存在です。

DXエンジニア

企業が目指すDXに対応スキルを持ち合わせたエンジニアの総称です。DXに関する会社戦略の立案や社内外でのDXの推進や連携などを担い、他社との連携で自社に新しい知見やアイデアを持ち込む事が期待されます。

プロジェクトの管理や設計書通りの開発といった通常のエンジニアの仕事に加えて、企業全体を考えたマネジメントができるプロジェクトマネージャーのようなスキルを持つマルチな人材が求められると言えるでしょう。

DXエンジニア
様々なタスクをこなせるマルチな人材が求められています。

先端技術エンジニア

ビッグデータやAIなど先端技術を扱える技術者です。IT技術の革新がめざましい世の中にあって需要の高い職種ですが、人材不足が嘆かれて久しいという側面もあります。

IT技術が進歩するスピードに人材育成が追いついていない事が現状と言われており、育成面での遅れが人材不足に直結しているケースと言えるでしょう。しかしながら、小学校からプログラミングが必修科目になるなど、幼少期から技術に触れる機会の創出が徐々になされていっているので、これからの世代に期待される職種です。

先端技術エンジニア
次世代に向けて人材育成が急務な領域です。

DX人材の資質となるスキル

ITに関する基礎知識

データやデジタルを駆使して行われるDXの現場において、ITに関する知識を有していることは必須に近いものと言えるでしょう。

Webやアプリなどデジタルを用いた技術による課題解決など、DX推進のための活動を行う為にはデジタルの知見が問われるシーンが訪れることは想像に難くありません。

トレンドを把握する

デジタルトレンドは常に更新されるものであり、DXは変革し続けていくという定義がなされているものでもあります。トレンドを常にキャッチし、自社のビジネスに取り入れるための模索を続けることはDX人材の資質の一つと言えるでしょう。

プロジェクトマネジメント能力

プロジェクトを成功に導くために、社内・社外の関係者に適切な指示や調整を行うなど、計画を進めていくときに求められるリーダーシップ・ビジネススキルを総称したものです。

DX推進を行うには不確定な事がまだまだ多いとは言え、試行錯誤の連続の中でプロジェクトを推進していく事が求められます。初めから細部まで整っているわけではなく、都度調整が必要となるDX推進の現場では、変化の多い環境でもチームをマネジメントしていくスキルは必須と言えるでしょう。

データ蓄積・分析能力

ビッグデータを集積・分析し有効活用できる能力です。統計学や分析能力で得たデータをビジネスに活用する方法を決断する能力も求められます。データサイエンティストのような専門家だけでなく、DX人材としてデータ活用のリテラシーとスキルは持っていた方が良いでしょう。

DX人材の資質
これだけで全てではありませんが、これらは資質となるスキルと言えます。

DX人材を獲得するためには

寮的にも質的に不足していると言われているDX人材。貴重とも言えるDX人材を社内に抱えるためにはどのような方法があるのでしょうか。

DX推進のために欠かす事ができない人材確保の方法をまとめてみました。

中途採用

DX推進に不可欠なスキルを持っている、既にDX推進の経験を持っているような人材を中途採用する方法です。

このような人材を確保できれば、中心的な役割を担ってもらいながら、社内の人材を育成してもらうことも期待できます。しかし、不足していると言われている人材の獲得は簡単ではなく、ある程度のコストも見込んでおく必要があるでしょう。

社内育成

一口に社内育成と言ってもDX人材のスキルは多岐に渡ります。これからDX推進に取り組んでいきたい企業にとっては「どうやって育成すれば良いのかわからない」かもしれません。研修会社に依頼して専門家を呼ぶことなどは、一つの方法と言えるでしょう。

外注

DX推進の採用や育成が難しい場合に、外注をして推進の一翼を担ってもらう方法です。Webなどの制作依頼とは違いコンサル的な形になると思われるので、ランニングでコストがかかるモデルとなります。

DXは費用対効果がすぐにみられるものばかりではなく、長い目で見ることで効果を発揮するものもあり、途中で中止してしまう企業も少なくありません。ランニングコストを一定期間は払い続ける覚悟をした上で、外注に踏み切る方が良いでしょう。

DX人材獲得方法
DX人材の獲得は難しいと言われていますが、何らかの方法で良い人材の育成・獲得を目指す企業は少なくありません。

まとめ

昨今ビジネス界で注目を集めているDX人材ですが、我が国ではまだまだ発展途中と言えるでしょう。

企業にリテラシーやスキルを持った人材が不足しており、需要に対して供給が間に合っていない状況であることも、発展途中と言える要因の一つです。

しかしながら、DX推進をしていくことで、働きやすく、効率の良い職場へと生まれ変わる事ができ、高次元での生産性を実現できるかもしれません。

DX推進に対する興味を持っている企業は数多くありながらも、実際に実現するプロセスがわからないというケースも少なくないでしょう。

その第一歩として、あるいは既に進行中の計画の火力アップのためなど、DX推進の専門家による研修は検討してみても良いのではないでしょうか。弊社ではDX推進に関わる研修も開催しておりますので、DX推進の一環で研修という方法もぜひご検討ください。

この記事を書いた人

栗林 陽

(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター 

大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。

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