研修とは?目的・種類・効果測定・設計・実践を徹底解説

研修とは?目的・種類・効果測定・設計・実践を徹底解説

近年、リスキリング、アップスキリング、アンラーニングなど、成長や学び、そして人材育成に関する多くのキーワードを見聞きします。変化がめまぐるしいVUCA時代においては、社員教育においても、従来のスキル研修のみならず、プロジェクト的な学習支援や、キャリア形成、そして、リスキリングに関する長期的なサポートなど、多種多様な学びのかたちが求められています。

企業研修において、多様な学びの機会が求められていますが、さまざまな研修が存在するからこそ、「そもそも研修とは何か」「研修の意味や目的はどのようなものなのか」実はよく分かっていない、という方も多いのではないでしょうか。

また、研修の実施にあたり、人事部門や現場からは、「研修プログラムの選定が難しい」「限られた予算の中での設計から実施まで何を重視すべきか悩ましい」、さらには「社員の参加意欲が低い」「研修後のフォローアップやスキル維持の仕組みが不十分で、継続的な人材育成に苦戦している」などという声も聴きます。

本記事では、そもそも研修とは何かについて、分かりやすく説明していきます。さらに、人事部門や現場の人材育成に携わる方向けに、研修の種類、形式、効果測定、そして設計から実施まで徹底的に解説していきます。

研修の重要性

研修を行う重要性としては、大きく以下の4つが挙げられます。

第一に、研修は、社員の能力を磨くことで企業全体の競争力を高めることを可能にします。効果的な研修を実施することで、生産性や効率がアップし、企業の業績向上につながります。

第二に、社員の成長をサポートする研修は、働く人々の満足度を高め、離職率を下げる役割も果たします。研修が企業のブランド力を向上させ、優れた人材の獲得や定着につながるのです。

第三に、研修を通じてコンプライアンスや倫理観が高め、ひいては、企業がリスクをうまく管理できるようになります。結果、企業は社会的責任を果たし、ステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなります。

最後に、研修は、社員一人ひとりの力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させる効果があります。

研修は企業にとって価値ある投資であり、成長戦略の中心に据えるべき要素であることが分かります。

研修の目的

研修の目的は、社員のスキルアップや知識の習得を促進し、企業全体の競争力を向上させることです。研修の実施にあたっては、企業が求める人材像の制定や必要なスキルの洗い出しが必要になります。

研修における社員のスキルアップについては、リスキリングという観点から説明します。リスキリングとは、社員が新しいスキルを習得し、業務内容や環境の変化に適応する能力を高めるプロセスです。リスキリングが求められる背景としては、技術革新や産業構造の変化が急速に進んでおり、社員が持っているスキルが陳腐化するリスクが高まっていることが挙げられます。

リスキリングを取り入れた研修では、社員が変化に対応できる力を養い、企業の持続的な成長をサポートすることを目的とします。研修プログラムを通じて社員の能力向上や組織力の強化を図ることで、企業の成長に寄与することができます。

研修の種類

研修には4つのカテゴリーがあります。スキル別研修、階層別研修、業種・業務別研修、そしてコンプライアンス研修です。それぞれの研修の内容と目的についてみていきます。

■スキル別研修
社員が特定の技能や知識を習得するための研修です。具体的には、コミュニケーションスキルやプロジェクト管理などがあり、基礎的なスキルから、専門的な技術や業界知識まで含まれます。従来は知識の習得から実践まで集合研修で実施することが多かったのですが、最近はeラーニングで事前学習を行い集合研修にてロールプレイングや受講者同士での相互評価、講師からのフィードバックをもらうというように、オンラインと集合形式を組み合わせるというような工夫もみられるようになりました。

■階層別研修
企業の組織構造に沿って異なる役割や責任を持つ社員向けの研修です。例えば、新入社員研修、管理職研修、役員研修などが挙げられます。階層別研修はつまり、それぞれの階層に応じたリーダーシップやマネジメントスキルを身につけることを目的とされています。階層別研修では役職が同じまたは近い人が集まることが多いため、研修後も互いに高め合う関係を築きやすい、研修を通じて部門横断で事業を協力し合う関係になりやすいといったメリットが他の研修より大きいといえるでしょう。

■業種・業務別研修
特定の業界や職種に特化した研修です。例としては、金融業界や製造業で必要な専門知識や技術を学ぶ研修などがあります。これらの研修は、社員が自分の業務をより効果的に遂行するための知識やスキルを習得することを目的としています。営業やシステムエンジニア、マーケティングといった業種別で開催されることも多いです。

■コンプライアンス研修
企業が法規制や業界の規範に従って適切な行動を取ることを目的とした研修です。情報セキュリティや個人情報保護、労働法や内部統制など、企業が遵守すべきルールや法令に関する研修があります。コンプライアンス研修の目的は、社員がコンプライアンスを理解し、企業としての社会的責任を果たすことです。

TOASUでは、幅広い研修プログラムを提供しています。経営戦略や新規事業開発、デジタルトランスフォーメーション(DX)に焦点を当てたカリキュラムで競争力を向上させます。また、組織開発やマネジメント力強化、リーダー育成を通じて組織の活性化を図ります。さらに、プロジェクトマネジメントの習得や営業力強化によって、業績向上を実現します。

研修の形式

OFFJT(Off-the-Job Training)とOJT(On-the-Job Training)

研修には、大きく分けてOFFJT(Off-the-Job Training)とOJT(On-the-Job Training)の2つのタイプがあります。

■OFFJT
職場を離れた環境で行われる研修を指します。具体的には、教室やセミナールームなどで新しいスキルや知識を習得します。専門家や講師から直接学んだり、他の参加者と意見交換を行ったりすることが特徴です。

■OJT
実際の職場で実施される研修です。先輩や上司から直接指導を受けながら、業務を遂行します。この形式の研修では、実践的なスキルや業務に関する知識を身につけることが目的です。

eラーニングとLMS(Learning Management System)

LMS(Learning Management System)は、オンライン上で学習コンテンツを管理・提供するシステムで、企業研修や教育において効果的かつ効率的に研修を実施するために活用されます。従来のeラーニングと比較すると、LMSはより包括的な機能を提供しています。

従来のeラーニングは、主に学習コンテンツを提供することに重点を置いていました。しかし、LMSでは、コンテンツ管理だけでなく、学習履歴や進捗の管理、コミュニケーション機能、スケジューリングや通知機能など、幅広い機能が統合されています。

LMSを利用する企業は、従業員の学習過程を効果的にサポートでき、研修の質を向上させることができます。また、LMSを活用することで、研修の効果を定期的に評価し、必要に応じて研修プログラムを改善することが可能になります。

研修の効果測定と改善

研修は、社員のスキルを向上させ、組織の業績を高めるために欠かせません。しかし、研修の効果を測定し、改善する方法が不明確な場合、せっかく教育に投資しても、最大限に活用されないかもしれません。本章では、研修の効果測定と改善に焦点を当て、目標設定とKPI、フィードバックと評価、継続的な改善の取り組みの3つのテーマに分けて詳しく解説します。

目標設定とKPI(Key Performance Indicator)

まず、目標を立てます。目標は、SMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)、つまり具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、期限を設定していることが重要です。

次に、KPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)を設定します。KPIは、目標達成度を測定するための指標です。研修の場合、KPIの例としては参加者の満足度、スキルの向上度、研修後の業績改善などが挙げられます。KPIを設定することで、研修の効果を客観的に評価し、改善に役立てることができます。

フィードバックと評価

研修の効果を測定するためには、明確な目標設定に加え、参加者からのフィードバックが欠かせません。アンケートや面談を通じて、参加者の意見や感想を収集しましょう。フィードバックは、研修内容や進行方法、講師の評価など、様々な側面から得ることができます。

評価は、研修前後のスキルレベルや業績を比較することで、効果を測定できます。具体的には、研修前後のテスト結果や業績データを分析し、研修の効果を定量的に評価することができます。

継続的な改善の取り組み

研修の効果測定と改善を継続的に行うことが、研修プログラムの質を向上させるために重要です。以下の4つの手順を踏むことで、継続的な改善が可能になります。

①データ分析
KPIのデータやフィードバックを定期的に分析し、研修プログラムの効果や問題点を明確にしましょう。データ分析を通じて、研修の成功要因や改善が必要な点が見えてきます。

②改善策の実行
問題点や改善が必要な点に対して具体的な改善策を立案し、実行に移しましょう。例えば、講師や教材の変更、カリキュラムの見直し、研修方法の改善などが考えられます。

③効果の再評価
改善策を実行した後、再度KPIや評価を通じて効果を測定しましょう。これにより、改善策が適切であったかどうかを判断することができます。

④改善サイクルの継続
改善策が効果的であった場合は、その取り組みを継続し、さらなる効果を追求します。効果が不十分であった場合は、再度データ分析から改善策の実行までのサイクルを繰り返しましょう。

上記のように、研修の効果測定と改善を継続的に行うことで、社員のスキル向上や組織の業績向上につながる研修プログラムを構築することができます。目標設定とKPIの設定、フィードバックと評価の収集、そして継続的な改善の取り組みを通じて、研修の質を向上させましょう。

研修の効果を高めるために、「フォローアップ研修」を組み込んだり、受講者の「ネットワーキングの促進」を取り入れることも有用です。研修後にフォローアップ研修を実施することで、参加者が学んだことを定着させ、実践に生かすことができます。フォローアップ研修は、社員のスキル維持や向上にも寄与します。

研修プログラムを通じて、参加者同士のネットワーキングの促進を図ることも大切です。情報交換や協力関係の構築が進み、組織全体の知識共有や協働が向上します。

TOASUでは、研修で学んだことを定着・活用するための仕組みとしてのフォローツール「GIFT」を提供しています。受講者が日常の中で、学びを思い出す・活用応用する(自分自身に学びを贈る)ためのツールです。

他にも、上司との面談の実施、受講者同士のコミュニティの設計、社内でのアウトプットの機会を用意するといったサービスも提案しています。

研修プログラムの設計と実施

ここでは、研修プログラムの設計と実施に焦点を当て、ニーズ分析と目標設定、研修カリキュラムの構築、講師・コンテンツ選定、スケジュール管理とコミュニケーションの4つのテーマに分けて詳しく解説します。

ニーズ分析と目標設定

効果的な研修プログラムを設計するためには、まず組織や社員のニーズを分析し、明確な目標を設定することが重要です。ニーズ分析では、社員のスキルギャップや組織の目標達成に必要なスキルを特定しましょう。次に、目標設定を行い、研修プログラムが何を達成するべきかを明確にします。

研修カリキュラムの構築

目標設定が完了したら、研修カリキュラムを作成しましょう。カリキュラムは、研修の目的や目標に沿った内容で構成するようにします。加えて、参加者の事前知識や経験に応じて、段階的な学習プロセスを設計することが重要です。また、研修手法(講義、グループディスカッション、シミュレーションなど)を選択し、効果的な学びになるようにすることが求められます。

講師・コンテンツ選定

研修プログラムの質を保証するためには、適切な講師とコンテンツの選定が肝心です。講師選定では、専門知識や経験が豊富で、研修の目的に適した講師を探しましょう。また、講師のコミュニケーション能力や教育スキルも重要です。インタビューや過去の実績を確認することで、最適な講師を選定できます。

コンテンツ選定では、研修の目標に沿った教材や資料を用意しましょう。最新の情報や事例を取り入れることで、参加者に現実的な知識やスキルを提供できます。また、インタラクティブなコンテンツやオンライン教材を利用することで、学習体験を向上させることができます。

スケジュール管理とコミュニケーション

研修プログラムの成功には、スケジュール管理とコミュニケーションが欠かせません。スケジュール管理では、研修の期間や日程を計画し、参加者や講師の都合に合わせた柔軟なスケジューリングを行いましょう。進捗管理を通じて、研修が計画通りに進行しているか確認し、必要に応じて調整を行います。

コミュニケーションでは、参加者や講師との情報共有やフィードバックが重要です。研修の目標やスケジュール、期待される成果などを明確に伝えることで、参加者の理解とモチベーションを向上させることができます。また、定期的なフィードバックを通じて、研修プログラムの改善点を特定し、質を向上させましょう。

編集部より

研修プログラムは、知識やスキルの向上のみならず、モチベーション向上にも大きく寄与します。自分自身の成長やスキルアップを実感することで、働く意欲が高まり、社員満足度が上昇します。これは、継続的な能力開発を促すだけでなく、自己実現の喜びや働きがいを感じることができるという点で重要です。

さらに、研修プログラムは、企業文化の強化と組織力の向上にも貢献します。研修を通じて、企業のビジョンや価値観を共有し、社員が一体感を持つことができます。また、他の受講者との協力や情報交換を通じて、組織内のコミュニケーションが活性化し、チームワークが向上します。

総じて、研修プログラムは、知識・スキルの向上、モチベーションの向上、企業文化の強化と組織力の向上といった面で、私たち受講者にとって非常に価値のある機会です。これらの要素が相互に関連し合い、社員の個々の成長だけでなく、組織全体の発展にも寄与することでしょう。

この記事を書いた人

栗林 陽

(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター 

大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。

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