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デジタル人材育成の必要性が叫ばれて久しくなってきています。しかし、まだまだデジタル人材育成がうまくいっていない企業も多いのではないでしょうか?
今回はDX経営から、デジタル人材育成について触れていきます。
DX経営とは何か?

DX経営とは、デジタル技術を活用することで、ビジネスモデルや経営戦略を変革し、競争力を高めることを目指す経営手法です。近年、ビジネス環境が急速に変化し、これまでの常識や方法論だけでは対応できない状況が増えています。そのような中で、DX経営は企業が未来に向けて戦略的に取り組むべき重要な課題となっています。 2018年に経済産業省からDXレポートが発表されて以降、DX経営は大きく取り上げられることになりました。
《当社記事:社内DX推進のために!おさらいから、実現に繋げるスキルまで》https://toasu-gakken.co.jp/labo/1675/
経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
DX経営の歴史
DX(デジタルトランスフォーメーション)経営は、現代のビジネス戦略の核心となっていますが、その歴史は古く、コンピューターの登場に始まります。大きく4つの時代に分けて、DX経営の歴史をご紹介します。
初期コンピューター時代
20世紀中頃、コンピューターが企業に導入され始め、最初のDXの波が起こりました。この時代、コンピューターは大きな物理的マシンで、主に計算やデータ処理を行うために使用されました。
しかし、これにより企業は膨大な量のデータを効率的に管理することが可能になり、ビジネスプロセスが大幅に改善されました。
インターネットの登場
90年代にはインターネットが普及し始め、新たなDXの波が起こりました。インターネットの普及は、ビジネスの規模や範囲を大幅に拡大し、企業と顧客が直接または間接的にコミュニケーションを取る方法を変革しました。
モバイルとクラウドの時代
21世紀初頭には、モバイルデバイスとクラウドテクノロジーの登場により、新たな変革の波が起こりました。これらのテクノロジーは、ビジネスをいつでも、どこでも行うことを可能にし、企業と顧客の関係を一層深化させました。
AIとデータの時代
現在、我々はAIとビッグデータの時代を生きていると言えます。これらのテクノロジーは、企業がビジネスを行う方法を根本的に変え、企業自身が製品やサービスを改善し、顧客体験を向上させ、新たなビジネスモデルを開発するのを助けています。

DX経営のメリット
効率性と生産性の向上
デジタル化は、企業の業務を自動化し、手作業によるエラーや遅延を減らし、生産性を向上させます。
顧客体験の改善
デジタル化は、顧客に合わせたサービスを提供することで、顧客体験を最大化し、企業と顧客との繋がりを深めます。
DX経営のデメリット
初期投資の高さ
新しいテクノロジーの導入やスタッフの研修など、DX経営を始めるための初期投資は高額になる可能性があります。
セキュリティリスク
デジタル化は企業のデータをサイバー攻撃から保護するための新たなセキュリティ対策を必要とします。
組織文化の抵抗
組織には、これまでに事業目的達成のために共有されてきた、行動原理や思考が組織文化として存在する場合があります。従業員のスキル不足や組織文化の抵抗は、DX経営の進行を遅らせる要因となり得ます。

DX経営の成功にはデジタル人材育成が欠かせない理由
DX経営を成功させるためには、企業にデジタルに精通した人材が必要です。しかし、現状ではデジタルに関する知識やスキルを持つ人材の不足が深刻化しており、この問題を解決するためにデジタル人材の育成が欠かせません。
総務省:デジタル・トランスフォーメーションにおける課題
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112490.html
DX経営に欠かせないデジタル人材の定義と必要性
デジタル人材とは?
デジタル人材とは、デジタル技術を活用してビジネスを展開し、企業価値を創造するために必要なスキルや知識を持った人材のことを指します。具体的には、プログラミングやWebマーケティング、データ分析などのスキルを持ち、ビジネスに必要な情報を収集・分析し、それを基に戦略を立てることができる人材です。単に技術に精通しているだけでなく、ビジネスにつなげていくことも非常に重要な要素です。
デジタル人材の必要性と役割
現代のビジネス環境では、デジタル技術がビジネスのあらゆる領域に浸透しています。そこで、デジタルに精通した人材が必要になってきます。デジタル人材は、以下のような役割を果たします。
・デジタル技術をビジネスに活かすための戦略の策定
・デジタル技術を用いた新しいビジネスモデルの構築
・WebマーケティングやSNS活用などのデジタルマーケティングの実行
・ビッグデータの収集・分析
以上のように幅と責任が伴う役割ではありますが、やりがいも非常にあります。
DX経営を支えるデジタル人材育成プログラムの構築

デジタル人材育成プログラムの概要
デジタル人材育成プログラムとは、デジタル技術やデータ解析、デジタルマーケティング、人工知能、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなど、デジタル技術を習得するための教育プログラムです。このようなプログラムは、企業や組織が持つデジタルトランスフォーメーション戦略に沿って、従業員が必要とするデジタル技術やスキルを獲得することを目的としています。
デジタル人材育成プログラムは、短期間の講義やワークショップ、長期間の専門学校のカリキュラム、オンライン教育プログラム、または専門的なトレーニングセッションなど、さまざまな形態で提供されています。プログラムの中には、実践的なプロジェクトや課題に取り組むことで、実践的なスキルを身に付けることができるものもあります。
デジタル人材育成プログラムの構築に必要な要素
また、デジタル人材を育成するためには、適切なプログラムを設計することが必要です。デジタル人材育成プログラムは、以下の3つの段階に分けることができます。
①診断・評価
まず、組織の現状を正確に把握し、デジタル人材育成の必要性や目的を明確にします。その後、従業員のデジタルスキルや知識、業務内容などを評価し、育成の優先順位を決定します。
②教育・研修
次に、育成の優先順位に基づいて、必要な教育・研修プログラムを設計し、実施します。例えば、ビジネスに必要なデジタル技術やツールの使用方法、データ分析の方法、コミュニケーション能力の向上などが挙げられます。また、実際にプログラムを受講することで、従業員がどの程度スキルアップしたかを測定することも重要です。
③フォローアップ・評価
教育・研修が終了した後も、従業員が身につけたスキルや知識が定着するようにフォローアップが必要です。そのためには、学んだことを実践する機会を与えたり、フィードバックを行うなど、継続的なサポートが必要です。また、教育・研修の成果を評価し、プログラムの改善点を洗い出すことも重要です。
《当社記事:研修効果を最大化!目的・種類・効果測定・設計・実践を徹底解説》https://toasu-gakken.co.jp/labo/3312/
デジタル人材育成プログラムの構築に必要な要素
デジタル人材育成プログラムを構築するには、以下のような要素が必要です。
■カスタマイズ性
メインで届けたいものに関しては、従業員のスキルや知識、業務内容に合わせて、カスタマイズされたプログラムが必要です。
■目標設定
従業員に明確な目標を設定することで、意欲的に取り組むことができます。
■多様な教育/研修手法
働き方も大きく変わってくる中で、短時間で学べるものから、長時間かけてしっかりと身につけさせるコンテンツといった形など多様な学び方も必要となります。
集合型、オンライン型、eラーニング型などや、時間の使い方もこの中に含まれてきます。
《当社記事【切り口別!】社員研修の種類・内容について》https://toasu-gakken.co.jp/labo/3031/
デジタル人材の獲得と育成

デジタル人材の採用に必要なスキル
デジタル人材の採用には、従来の採用プロセスに加え、デジタル技術や知識を持った人材を選定するためのスキルが必要です。
■デジタル技術の理解
デジタル人材を採用するためには、採用担当者自身がデジタル技術に精通している必要があります。デジタル技術について理解し、その技術を用いて業務を効率化したり、新しいビジネスモデルを創出することができる人材を探すことができます。
■デジタルスキルの判断
デジタル人材を採用するためには、採用担当者が候補者のデジタルスキルを正確に判断することが必要です。具体的には、プログラミングやデータ解析、クラウドコンピューティング、マーケティングの知識など、職務に必要なデジタルスキルを持っているかどうかを見極めることが求められます。
■ポートフォリオの確認
デジタル人材の採用にあたっては、履歴書や職務経歴書だけでなく、実際に作成した成果物やプロジェクトをまとめたポートフォリオを確認することが重要です。候補者が実際にどのような成果を出し、どのようなプロジェクトに参加したかを確認することで、その人材の実力を正確に評価することができます。
■コミュニケーションスキルの確認
デジタル人材に求められるスキルの1つに、コミュニケーションスキルがあります。プログラマーやデータサイエンティストなど、専門性の高い職種においても、チームで協力しながらプロジェクトを進める必要があります。そのため、候補者がチームワークを発揮し、上司やクライアントとのコミュニケーションが円滑にできるかどうかも重要なポイントとなります。
デジタル人材の育成で必要なスキル
デジタル人材育成には、以下のようなスキルが必要とされます。
■プログラミングスキル
デジタル技術を活用するには、プログラミングの知識が必要不可欠となります。プログラミングを学ぶことで、デジタル技術における基礎知識を身につけることができます。
■クラウドコンピューティングスキル
クラウドコンピューティングは、ビジネスにおいてますます重要になっています。デジタル人材には、クラウドコンピューティングの基礎知識と、クラウドサービスの使い方を熟知している必要があります。
■ビッグデータ解析のスキル
ビッグデータは、企業にとって非常に重要な情報源です。ビッグデータ解析のスキルを持つデジタル人材は、ビジネス上の課題を解決する上で重要な役割を果たすことができます。
■コミュニケーションスキル
デジタル技術をより活用していくためには、チーム内でのコミュニケーションが非常に重要です。デジタル人材は、相手のニーズを理解し、協力しながらビジネス上の問題を解決することができるようなコミュニケーションスキルを持つ必要があります。
■問題解決スキル
デジタル技術を活用にあたっても従来から使われている問題解決スキルも忘れてはならない要素です。デジタル人材は、ビジネス上の問題を迅速かつ正確に解決することができるような問題解決スキルを持っていきましょう。
■ビジネススキル
デジタル技術を活用することは、ビジネス上の目的を達成するための手段の一つに過ぎません。ビジネススキルを持ったデジタル人材は、デジタル技術を効果的に活用し、ビジネス上の目標を達成することができます。
これらのスキルを持ったデジタル人材を育成するためには、教育・トレーニングプログラムを実施することが必要です。企業は、従業員にプログラムを受ける広い機会の提供が必要となります。また、デジタル人材の育成においては、教育やトレーニングによってスキルや知識を身に付けることが重要です。具体的には、社内研修や専門的な講座の提供、実践的なプロジェクトへの参加などが挙げられます。さらに、デジタル技術に関する情報やトレンドについて常にアップデートし、最新の知見を取り入れることも重要です。
デジタル人材育成における課題と対策
デジタル人材育成においては、以下のような課題があります。
①育成にかかる費用や時間の確保
②人材の確保や採用に関する課題
③教育プログラムの設計や実行に関する課題
④育成した人材の定着や維持に関する課題
これらの課題に対しては、以下のような対策が考えられます。
①育成にかかる費用や時間の確保については、事業戦略やビジネスモデルに合わせた予算の確保や、社 員が教育に割ける時間の確保が必要です。
②人材の確保や採用に関する課題については、企業自体が魅力的な存在であることや、適切な求人広告の展開、既存社員の紹介制度の導入などが挙げられます。
③教育プログラムの設計や実行に関する課題については、社員のレベルや目的に合わせたプログラムの設計や、実践的なプロジェクトやハンズオンの実施が必要です。
④育成した人材の定着や維持に関する課題については、適切な報酬やキャリアパスの提供、定期的なフィードバックの実施、やりがいや成長機会の提供などが挙げられます。
以上のように、デジタル人材育成には様々な課題が存在しますが、それに対する適切な対策を取ることで、人材育成の効果を最大限に引き出すことができます。
まとめ
最後に、今回の記事のポイントを再確認しましょう。
まず、DX経営においてデジタル人材の育成は欠かすことのできない要素であることを理解しました。次に、デジタル人材の定義と必要性、役割について説明し、デジタル人材の育成ポイントとして企業文化の改革、教育・研修の充実、社員の自己啓発の重要性を挙げました。
また、デジタル人材育成のプログラム構築をするためには、経営層の意識改革、教育・研修プログラムの作成、外部の専門家の活用などが必要であることや、デジタル人材の採用、育成に必要なスキルについても解説しました。
デジタル人材育成における課題と対策については、デジタル人材育成における課題として、専門知識の不足や教育・研修プログラムの未整備などがありますが、対策としては、社内の専門知識を活用することや外部の専門家を招聘することなどが挙げられます。
TOASUにおいて、DXに関する主にビジネスに関する研修を提供しております。またチームで学べるコンテンツもそろえておりますので、気軽にご相談ください。
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DX経営においてデジタル人材育成が欠くことのできない理由や、デジタル人材育成のポイントを再確認して、企業が成功していくための必須要素であるデジタル人材を育成することができます。企業の成長に欠くことのできないデジタル人材を育て、競争優位性を獲得していきましょう!
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この記事を書いた人
栗林 陽
(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター
大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。