ビジネススキル研修とは?-スキル一覧・メリット・設計・実施を解説

ビジネススキル研修とは?-スキル一覧・メリット・設計・実施を解説

ビジネススキル研修とは

近年、ビジネス環境は急速な変化を遂げ、競争が激化しています。企業は新たなマーケットニーズに対応し、市場での優位性を保つために、従業員のスキルを磨くことが不可欠です。このような状況の中、ビジネススキル研修はますます重要な役割を担っており、企業の成長や社員の能力向上に寄与しています。

ビジネススキル研修のメリット

ビジネススキル研修は、社員の知識やスキルを向上させ、業務効率の向上やチームワークの強化につながります。研修を通じて、社員は新たなアイデアや視点を学び、自己成長を促進し、会社により多くの価値を提供できるようになります。また、研修は社員のモチベーションや満足度を高め、人材の確保と育成にも寄与します。

研修の目的と目標

ビジネススキル研修の目的は、社員が業務で必要とされるスキルを習得し、自己成長を促すことです。研修の目標は、具体的なスキルの向上や問題解決能力の強化、チームワークの向上など、企業や社員にとって重要な成果を生み出すことにあります。

本記事では、ビジネススキル研修の種類や設計、実施方法、効果の測定と改善などを取り上げます。これらの情報を通じて、効果的なビジネススキル研修を実現し、企業の成長に貢献する方法について理解を深めていきましょう。

ビジネススキルの一覧とビジネス研修の種類

ビジネススキルの分類については、カッツ理論(Katz’s Theory)という学説が有名です。組織内でリーダーシップを発揮するために必要なスキルを3つに分類した理論で、1955年にアメリカの社会心理学者・組織学者であるロバート・カッツ(Robert Katz)によって提唱されました。

カッツ氏によれば、効果的なリーダーシップを発揮するためには、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、そして、コンセプチュアルスキルの3つのスキルが必要だとされています。以下では、それぞれのスキル向上のための研修について、ご紹介します。

テクニカルスキル研修

特定の業務や職務に必要な専門知識や技術を習得するための研修です。例えば、プログラミングスキルを向上させる研修や、マーケティング戦略立案能力を鍛える研修が含まれます。

ヒューマンスキル研修

職場内外でのコミュニケーションや、メンバーと協働する上での能力を向上させることが目的です。代表的なのは、プレゼンテーション研修などのコミュニケーション研修や、チームビルディング研修、課題解決研修となります。

コンセプチュアルスキル研修

組織全体を俯瞰し、戦略的な思考や意思決定能力を鍛えるための研修となります。目的としては、リーダーが組織全体のビジョンや目標を明確に伝え、戦略的な方向に導くことなどが挙げられます。

これらの研修カテゴリを組み合わせることで、社員やリーダーがバランス良くスキルを習得・向上させることが可能となります。組織や個々の役割に応じて、研修プログラムをカスタマイズし、効果的なスキル研修を提供することが求められます。リーダーは自分の立場や役割に応じて、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルのバランスを見直し、それぞれのスキルを磨くことが重要です。

カッツ理論
カッツ理論によると、役職ごとに求められるスキルの割合は変わってきます。

研修プログラムの設計

ビジネススキル研修が事業の質の向上につながるためには、適切な研修プログラムの設計が不可欠です。以下では、研修サービスを提供しているTOASUのノウハウを生かし、研修設計の過程について、順を追ってみていくことにします。

現状把握

第一に、企業の目指すゴールや社員のスキルギャップを明らかにするために現状分析を行います。インタビューやアンケートを活用し、どのようなスキルを強化すべきかを特定し、それに基づいた研修プログラムを構築していきます。TOASUにおいても、顧客の課題を可視化した上で必要なビジネススキルを提供できるよう、顧客に寄り添う姿勢に重きを置いています。

目標設定

第二に、研修プログラムの目指す成果を具体化します。具体的にどのような場面でのスキルを向上させたいのか、さらには、業務を効率化させたい、チームをこのような方向に変えていきたいなど、期待する結果をはっきりさせることにより、研修の提供できる価値が高まります。

カリキュラム開発

目標が明らかになったところで、第三に、研修のカリキュラムの開発に取り組みます。研修の具体的内容、スケジュール、教材の選定といった事項を決定し、研修が順調に進行するように計画します。カリキュラム開発においては、受講者の理解しやすさなど、受講者の視点に立つこともまたなくてはならないポイントです。教材の選定においては、受講者のレベル感との整合性、加えて、講師の指導の特徴との組み合わせといった観点からも、どのような教材を使うべきか見極めることが求められます。

実践的なアプローチ

研修プログラムは、実践的なアプローチを採用することが肝心です。ロールプレイングやシミュレーション、ケーススタディ等、実際のビジネスシーンを模倣した活動を通じてスキルを磨く方法を導入すること求められるでしょう。第四のフェーズである、研修のアプローチ方法を検討する際には、受講者が現場で応用しやすいような仕組みを考えていくことを念頭に置きましょう。

研修の評価方法

最後に、研修の成果を測定する評価方法を設けます。スキルや知識のうちどのような点をどれほど習熟できたのか、参加前に比べどれだけ業績が改善できたか、そして研修に対し受講者が満足できたのか等の項目を指標として設定します。明確な評価基準により、研修の成果を客観的に判断することができ、今後に向けての改善点が見えやすくなります。

研修プログラム設計のプロセス
適切な研修プログラムの設計は、質の高い内容を実現するために不可欠です。

成果を上げる研修の運営

研修プログラムの設計が整ったら、次に向かうべきは効果を高める研修の運営です。以下では、研修をより実効性のあるものとして進行するために不可欠となる要素を掘り下げます。

最適な研修講師の確保

研修の効果は、適任の研修講師の選出できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。講師には、専門的な知識や実務経験が深く、受講者に対して分かりやすく指導できるスキルが求められます。講師と受講者が良好な意思疎通を図る能力がある人物を選ぶことも非常に重要です。

受講者の意欲向上策

研修の成果は、受講者の意欲にも大きく左右されます。研修の目的や目標を明瞭に伝達し、受講者が自身の成長や業務改善への結びつきを感じるような工夫が必要です。加えて、受講者が自発的に意見交換を行える環境の整備も大切です。

グループワークやディスカッションの導入

主体的な学びを促進するために、グループワークやディスカッションの導入を検討しましょう。受講者同士が互いの意見を出し合い、ともに解決策を見出していくことにより、スキルに対する応用力が身に付きます。

実践練習とフィードバック

研修で得た知見を現実の状況で使うための練習が必要不可欠です。ロールプレイングやシミュレーションを通じて、現実の業務で活用し得るスキルを鍛えましょう。さらに、講師や他の受講者からのフィードバックを得て、改善点を見つけ、繰り返し練習することで、能力の向上を見込めます。

フォローアップとサポート

研修が完了した後においても、受講者の学習を支援することは大きな意味を持ちます。研修で学び取った内容を定着させ現場で活用するために、適切なフォローアップを実施しましょう。例えば、定期的にミーティングを開催し、受講者の進捗や課題を共有し、改良策を検討するのもよいでしょう。また、講師や上司と連携して助言を与えたり、さらなるスキル向上のための施策を検討することも有効です。

研修効果の測定と改善

研修プログラムを成功につなげるためには、人材開発の視点での研修の評価と次に向けての改善策が必須です。以下では、研修成果の評価方法と、その結果をもとに研修プログラムを向上させる手法を紹介します。

参加者のフィードバック収集

研修プログラムの成果を評価する際、受講者へのアンケート実施に加え、人事部門や上司の視点から多面的にアプローチすることが肝要です。具体的な手法としてはいくつかの要素があります。

まず、研修前後での受講者の知識や技能の変化を評価します。これは、研修が個々のスキル向上にどの程度寄与しているかを定量的に理解するための基礎的なステップです。テスト、アンケート調査、さらには受講者の自己評価といった方法を駆使し、具体的な知識や技能の成長度合いを把握します。

次に、研修が実際の業務に与えている影響を評価します。具体的には、業務成果がどれだけ向上しているか、チームの協調性がどれだけ強化されているかなど、研修が直接的に実務に及ぼす効果を探ります。これらの観察結果は、研修プログラムが組織全体の目標達成にどれほど寄与しているかを理解する上で不可欠な情報となります。

また、研修の成果を評価するためには、単に受講者の知識やスキルの変化を見るだけではなく、その研修が組織全体に与える影響を評価することも重要です。そのために、研修受講者が新たに得たスキルをどのように実務に応用しているか、またその結果として業績にどのような変化があるかを評価します。これにより、研修の「実効性」を評価し、その結果を元に研修プログラムの改善につなげることが可能になります。

研修の成果測定

受講者からの要望および改善案は、研修プログラムの向上に役立つ情報源です。アンケートのみならず、面談や同じ研修の受講者を集めた交流会を通じて、受講者の率直な意見や研修内容に対する考えを収集しましょう。さらに、受講者が研修で学んだことを実際の業務に活かせているかどうかを確認し、より良い研修プログラムを作り上げるための改良策を探ることが大切になります。

継続的な改善活動

研修成果の評価と受講者からの意見を基に、研修プログラムの継続的な改良を進めましょう。具体的な改良策としては、研修内容の再検討、教材の改善、研修方法の変更などが考えられます。研修プログラムを継続的に見直すことで、その成果を最大に引き出すことができるようになります。

TOASUのビジネススキル研修

ロジカルコミュニケーション研修

当社におけるロジカルコミュニケーション研修では、一般的な個人の中で完結する論理の作り方だけによらず、人と人との間で齟齬が生じやすい文脈に焦点を当てています。

自身の育ってきた言語、背景、環境によっても物事の捉え方や意味合いは変わってしまうものです。その違いを受け入れ、理解しないことには一方通行の論理になってしまいます。

そこで、当社はその違いを超えたコミュニケーションができるようになる研修を用意しております。

受講者の声

ロジカルコミュニケーション研修を受けて、言語や文化の違いがコミュニケーションに与える影響について理解を深めました。以前は自分の論理だけに集中していたのですが、相手の背景や環境も考慮することが重要だと学びました。

問題発見・解決研修

当社の問題発見・解決研修は、一般的な理想とギャップを明らかにすることは一般的な研修と同じですが、その解決策を多様に用意しております。

問題が技術的な部分にあるのであればプログラミング研修を用意したり、お客様の解決手法があればその手法を取り入れたり柔軟に対応いたします。

受講者の声

問題発見解決研修を受けて、実践的なスキルを身につけることができました。研修では、問題の本質を見極めるための手法やフレームワークを学び、具体的なケーススタディを通じて実際の問題に取り組みました。これからは、問題をより効果的に解決するために、研修で学んだ手法やツールを活用して取り組んでいきたいと思います。

ミニMBA研修

DX推進が求められる世の中となり、顧客のDX化を推進する上で超上流工程に入り込みコンサル的な動きが必要となってきました。

その中で、顧客をインサイトする(=顧客のニーズを真の意味で「知る」)ことがDX推進の1歩目となり、且つ各社に求められるスキルとなってきています。

TOASUでは、一般的なMBA的な要素を、簡易的な研修として用意しています。

受講者の声

ミニMBA研修を受けて、DX推進の重要性や顧客インサイトの取得方法について学びました。実務での経験が浅かった私にとって、超上流工程やコンサルティングの視点を身に付ける機会となりました。今後の業務で、顧客のニーズを深く理解し、DX化の推進に貢献できる自信がつきました。

提案力研修

会社に所属しているとどうしても、自社視点で物事を捉えがちです。顧客視点の必要性はわかっていても実際にやってみないと自分ごとにするのは難しいのが実情ではないでしょうか。

当社では、講師扮するお客様役にヒアリングをし、そこでの情報を分析して、提案をするという一連のプロセスを実体験してもらいます。

ヒアリング時には講師から都度フィードバックもしていきますので、なかなか日常ではできないOJTのような環境を研修中に用意して、PDCAを回して成長を促します。

受講者の声

講師の方がコンサルティングも業務でされている方とのことで、その視点で講義を受けられて参考になりました。顧客視点とは何かを知れた気がします。また受けたいです。

まとめ

ビジネススキル研修は、組織全体のパフォーマンスを底上げするための中心的な手段であり、各社員の専門能力を拡大する役割を果たします。

並びに、必要となるビジネススキルを一覧化することで、特定の専門知識の強化、人間関係スキルの発展、そして戦略的な視野の育成など、多岐にわたる能力が求められることが明確になります。スキルの向上は、業務遂行能力を個々に高めるだけでなく、チーム協力や組織全体の戦略的視点の拡大にも寄与します。

研修プログラムを設計するプロセスでは、まず現状の理解から始め、明確な目標設定、教育カリキュラムの開発、実践的なアプローチ、そして研修成果の評価という一連のステップを踏みます。研修の実施に際しては、最適な講師の選択、受講者の学習意欲を高める工夫、実業務に近い形の訓練とそのフィードバック、そして研修後の支援が重要となります。

最後に、受講者からのレビューや研修の成果を定量的に分析することで、研修の品質向上のための持続的な改善ができるようになります。

ビジネススキル向上のための研修は、ここまで記してきた一連の取り組みを通じ、組織の進化と拡大を後押ししているのです。

この記事を書いた人

栗林 陽

(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター 

大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。

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