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多くの企業や担当者が研修企画の際に費用の調査を行っているのではないでしょうか? またそういった皆様は、研修にかかる費用を削減する方法にも関心があるはずです。本記事では、研修にかかる費用における一般的な相場を示し、具体的な費用項目について説明します。さらに、研修の種類ごとに相場を比較し解説することで、費用を抑えるための情報を提供します。ぜひ研修企画の参考にしてみてくださいね。
研修費用とは
研修費用とは、従業員や新入社員、あるいは特定の個人やグループを対象として、業務関連のスキルや知識を向上させるための教育やトレーニングにかかる費用のことを指します。
研修費用はその内容や期間、場所などによって異なることが多いので、一概に費用を出すこと難しいものも存在します。
具体的には、教材費、講師費、施設利用費、交通費、食事代、オンラインツールの利用料などです。
なお、費用の節約に加えて、研修の効果や成果を最大化するためには、計画的なフォローアップや評価の実施も重要です。
参加者のフィードバックを収集し、研修の改善や次のステップに生かすこともおすすめです。研修プログラム全体のコストパフォーマンスを向上させるために、継続的な改善を心掛けましょう。
研修にかかる一般的な費用項目
研修や資料費
研修を外部の研修会社に委託する場合や外部の個人講師を招く場合、さらには研修で使用する教材にも費用がかかることが一般的です。以下に具体的な費用項目をご紹介いたします。
1.研修を企画する会社への委託費用
2.研修企画会社が提供する追加オプションのプログラム費用
3.研修企画会社が提供する独自の教材や市販の資料の費用
4.社内で作成する資料やテキストのコピー費用など
5.外部の講師を派遣する際の謝礼費用
交通費
交通に関する費用は外部の講師だけでなく、従業員や社内講師、受講生にも関わる費用です。また、出張扱いで日当が支給される場合もあります。以下に具体的な費用項目を示します。
1. 外部の講師に発生する交通に関する費用や駐車場代などの費用
2.社内講師にかかる交通に関する費用や日当
3.受講者に発生する交通に関する費用や日当
宿泊費
宿泊費は、外部の講師や社内講師、受講者など、研修に参加するすべての人にかかる費用です。昼食だけでなく、朝食や夕食代も発生する場合があります。また、研修場所に食事施設がない場合は、食事の手配も必要になります。さらに、社員には日当として支給するケースもまれではありません。以下に想定される費用項目を示します。
1. 外部の講師の宿泊費と食事費用
2.社内講師や受講者の宿泊費と食事費用
場所代
場所代は、研修を実施する場所の貸し料金や設備利用料、備品費用などに関連する費用です。自社の会議室を使用する場合は、費用を節約できます。場所によって費用もまちまちであるため、見積もりを複数取ることも重要となります。また、場所の用意が必要な場合に研修会社が探すのか、自社が探すのかでも費用がわかってきますので考慮が必要です。今ではオンラインでの開催もできますので、併せて考えてみてください。 以下に、具体的な費用項目を示します。
1. 研修会場の貸し料や設備利用料、備品の使用料
2.持ち込み資料やプロジェクター、スクリーンなどの設備の輸送費
3.持ち込み備品や飲み物の購入費

研修にかかる費用の相場
企業の規模や業界、業種等によっても、研修にかかる費用の相場は異なります。産労総合研究所の調査結果を基に、研修に関連する費用の予算や実績を紹介していきます。以下は、2021年における115社の研修にかかる費用に関する調査結果です。これらのデータは、研修にかかる費用における一般的な相場と考えることができます。
産労総合研究所:2021年度 教育研修費用の実態調査
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/kyoiku/kyoikukenshu/pr2210.html#
2021年度の教育研修に関わる費用総額は、各企業ごとの予算額が6,821万円(前回の調査時は6,934万円)であり、実際の支出額は5,221万円(前回の調査時は4,625万円)でした。
なお、2022年度の予算額は7,083万円となりました(前回の調査時は6,603万円)。これらのデータは、企業が教育研修に割り当てる平均的な費用を示しています。予算については徐々に増えていることがわかります。

ひとり当たりの会社規模や業種による研修にかかる費用相場
規模や業種による研修にかかる費用のひとり当たり相場についても見ていきましょう。2021年度の実績額を規模別に分析すると、大企業(1,000人以上)ではひとり当たりの費用が29,629円(前回の調査時は24,329円)となりました。
中堅企業(300~999人)では31,323円(前回の調査時は24,790円)、中小企業(299人以下)では28,682円(前回の調査時は26,583円)という結果が出ています。
また、業種別に見ると、製造業の場合、ひとり当たりの費用が27,886円(前回の調査時は22,933円)となりました。一方、非製造業では31,155円(前回の調査時は26,585円)という結果が示されています。
非製造業の方が高くなっています。おそらくDX人材等の高度人材が求められ、それによって研修にかかる費用が高くなっていることが予想されます。
これらのデータは、企業の規模や業種によって教育研修に割り当てられる平均的な費用を示しています。研修の規模や内容に応じて費用の適切な設定を行うためには、業界のトレンドや企業の戦略、研修トレンドを考慮に入れることも重要となります。
DX人材について知りたい方は。別記事「DX人材とは?その課題と必要な資質」にて詳しく解説しています、ぜひ合わせてご覧ください。
ひとり当たりの研修にかかわる費用
社員ひとり当たりの教育研修にかかる費用も重要な情報です。2021年度の教育研修にかかるひとり当たりの予算額は40,896円(前回の調査時は42,446円)でした。また、実際の費用実績は29,904円(前回の調査時は24,841円)でした。2022年度の予算額は43,261円となりました(前回の調査時は39,682円)。
これらのデータは、企業がひとり当たりにどれくらいの費用を教育研修に充てているかを示しています。社員一人ひとりの成長やスキルアップに対する投資を考慮することは、組織の発展と競争力を高めるために重要となります。将来の成果に繋がる適切な予算設定と資源配分を行うことが求められるでしょう。
なお、2021年度の実績額を見ると、前回の調査から5,063円の増加がありました。増加率は20.4%になります。ただし、まだコロナ以前の水準には戻っていません。
教育研修にかかる費用は依然として過去の水準には及んでおらず、引き続き組織が課題に取り組む必要があることを示しています。コロナ禍の影響により、教育研修の重要性が高まりつつある中で、費用の適切な配分と効果的な活用が必要だと考えられます。
これらの情報を踏まえながら、研修に関連する費用の予算を決定する際には、企業の規模や業務の内容、研修の内容などを考慮することが大切です。
また、具体的な費用項目や研修の種類における相場の比較や、研修に関連する費用を抑えるために、費用削減の余地がある箇所を見極めることも重要となります。
しかし、ただ費用を抑えるだけでは研修の効果が薄まってしまうことにもつながりかねません。バランスを取っていくことが重要となります。研修に関連する費用を効果的に管理し、組織の発展に貢献するために、継続的な評価と改善を心がけていきましょう。
さらに、研修の効果を最大限に引き出すためには、参加者のモチベーションや関与度を高める工夫も重要です。参加者が積極的に学び、実践に活かせるような環境づくりやフォローアッププログラムの提供などにも注力しましょう。
研修にかかる費用は投資として考え、従業員の成長や組織の発展に繋がる有益な手段と捉えることが大切です。

異なる研修種類の費用相場
社内研修
社内研修の費用相場は、1日あたり約20万円から50万円程度であり、短期の場合は1時間あたり約10,000円から50,000円程度が一般的といわれています。会社によっては短時間であっても1日の費用がかかることもあります。ただし、費用の安い運営会社を選ぶ場合は、オリジナル資料や交通に関する費用などの追加費用が別途発生することもあります。
公開研修(オープン研修)
公開座学研修(オープン研修)の費用相場は、通常1日あたり約18,000円から30,000円程度です。公開座学研修は一般募集されており、開催日程が事前に公開されています。定員に余裕があれば、誰でも参加することができます。また、研修の形態も一日を費やすものから数日間にわたって1日2時間程度のものまで様々です。
E-ラーニング
E-ラーニングの費用は、運営会社やプラン、受講者の人数によって大きく異なる場合があります。料金プランも月契約や年間契約など、さまざまな形態が存在するため、会社のニーズに最適な運営会社を選ぶことが重要となります。

助成金制度を活用した費用削減方法
研修にかかる費用を節約する方法として、「助成金制度」があります。
厚生労働省:人材開発支援助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
厚生労働省が提供する「人材開発支援助成金」は、業務に関連する研修を受ける際に一部の費用を補助する制度です。この助成金は4つのプログラムに分かれており、各プログラムには支給額の上限が設定されています。さらに、生産性の向上に寄与する研修を行う場合には、追加の助成金を受けることもできます。
研修に関連する費用を算出する際には、社内の研修を外部に委託する場合、講師の派遣費用(交通に関する費用、宿泊費など)は基本的にクライアントが負担することになります。特に遠方から講師を呼ぶ場合や1週間以上にわたる研修の場合は、講師の派遣費用が増加する可能性もあるため、注意が必要です。
営業研修や接客・接遇研修などを実施する際には、事前に自己分析ツールや性格診断ツールを活用することも検討しましょう。これらのツールは研修に関連する費用とは別に利用料金が発生する場合がありますので、見落とさないようにご注意ください。
以上が、異なる研修の種類における費用相場や費用削減の方法に関する説明でした。費用を抑えるためには、各研修の特徴を考慮し、助成金制度の活用や見落としがちな費用項目の確認が重要となります。会社のニーズや予算に応じて最適な研修を選び、効果的な人材開発につなげてください。
研修にかかわる費用を抑えるためのポイントと会社選びのヒント
研修を実施する際には、あなたの会社で対応する場合と外部委託する場合があります。外部委託の場合、どの研修会社を選ぶべきか悩むこともあるでしょう。以下では、会社選びのヒントと研修にかかわる費用を抑えるポイントについて詳しく説明します。

価格差の理由と費用削減のアプローチ
社員研修にかかわる費用は、一般的には1日当たり20万円〜50万円前後が相場となっています(法人に依頼する場合)。他のBPOサービスと比較しても、研修会社による価格差はあまり大きくないことが一般的です。しかし、例外的に非常に高価格な研修もあります。
費用対効果を意識して費用を決めていきましょう。価格は重要ではありますが、安易に安価な会社を選ぶことで品質や効果を下げてしまわないように注意しましょう。
研修会社を選ぶ際に以下のポイントなどに注意をむけていくことで、費用を抑えることができます。
予算と目的の明確化
自社の研修予算と研修の目的を明らかにしましょう。研修会社に研修の目的を考えてもらうことは、おすすめしません。自社の研修ですので、社内で目的を決めるのがよいでしょう。予算にかかわる範囲や研修で達成したい目標を明らかにしていくことで、適切な価格帯の研修会社を選ぶことができます。
複数の見積もりを比較
しっかりといくつかの研修会社から見積もりを取りましょう。そして、それらを比較しましょう。費用だけでなく、相手の営業の対応、提供されるサービスやカリキュラム内容、講師の経験や質なども考慮し、コストと品質のバランスを見出していくことが重要となります。
また、しっかりと研修会社とコミュニケーションもとっていきましょう。条件によっては費用を抑えてもらえることもあるかもしれません。
カスタマイズの可否
研修会社が提供する研修プログラムが、あなたの会社のニーズや研修の目的に合致しているか確認していきましょう。必要なカスタマイズや追加オプションの有無、それに伴う費用なども事前に確認しておくと良いでしょう。
参考実績と評判のチェック
研修会社の実績や評判を調べてみましょう。今までの実績やクライアントの口コミなどを確認することで、信頼性や品質を評価することができます。同じような業界や規模の企業がどのような研修を受けているかを知ることで、あなたの会社に適した研修会社を選ぶこともできるようになります。
コミュニケーションの円滑化
研修会社とのコミュニケーションがうまく行われるかも重要なポイントとなってきます。柔軟な対応や迅速な回答が得られる研修会社を選ぶことで、問題や要望にスムーズに対応してもらうことが予想できます。
逆に、対応が遅かったり、柔軟性に欠ける企業は研修の失敗につながる可能性もありますので、注意が必要です。
長期的なパートナーシップの構築
研修会社との長期的なパートナーシップを構築することで、将来の研修計画や予算調整などがスムーズに行うことにつながっていきます。信頼関係を築きながら効果的な研修プログラムを一緒に考え実施していくことでより良い研修の実施につながっていきます。
これらのポイントを考慮しながら、品質の高い研修を提供してくれる会社を選ぶことが成功の鍵となります。また費用も抑えることにもつながっていきます。
さらに、研修にかかわる費用を抑えるためには、外部委託の必要性や研修の内容・期間を見直すことも検討していくとよいでしょう。研修の効果を最大限に引き出しながら、経済的な選択を行うことも重要となります。
研修にかかわる費用に関するまとめ
研修の種類や内容によって費用は異なります。社内研修や公開座学研修、オンライン研修などそれぞれの相場を把握し、予算と目的を明確にすることが重要となります。
また、複数の見積もりを比較し、提供されるサービスやカスタマイズの可否、参考実績や評判をチェックすることも大切です。
併せて、コミュニケーションの円滑化や長期的なパートナーシップの構築も効果的です。予算を最適化し、品質の高い研修を選ぶことが成功のカギとなるでしょう。
■参考TOASUページ
・研修とは:https://toasu-gakken.co.jp/labo/3312/
・社員研修の種類:https://toasu-gakken.co.jp/labo/3031/
・リスキルとキャリア:https://toasu-gakken.co.jp/labo/2944/
この記事を書いた人
栗林 陽
(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター
大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。