
目次
- 研修報告書について
- 研修報告書の目的
- 研修の内容の検証と今後の業務の改善
- 研修内容の共有の重要性
- 研修報告書の作成ポイント
- 研修の狙いとゴールを把握する
- 研修中には学んだポイントを記録する
- 学んだことや気づきを具体的に記述する
- レポート作成の基本ルールを守る
- 読者にとって理解しやすい構成を心掛ける
- 研修の成果をどう業務に活かすか考える
- 研修報告書の作成手順
- 記述する項目の選定
- 学んだ内容や気付きを明記する
- レポートのフォーマットを調整する
- 研修報告書の例文とテンプレート【ケース別】
- 新入社員研修
- マネジメント研修
- スキル研修
- 研修報告書の提出先と提出手段
- 人事部に提出
- 直属の上司に提出
- OJTのメンターに提出
- TOASUのライティング研修
- まとめ
“なんとなく流してしまう”、そんな印象を持たれがちな研修報告書。しかし、考え方を少し変えてみてはいかがでしょうか? 研修報告書は、実は組織全体の知識を深め、成長を促進する非常に強力なツールとして機能するのです。それは、社員一人ひとりが日々学び、成長していくその過程を具現化したものであり、その学びを共有することで組織全体が賢くなるきっかけを作り出すものなのです。
この記事では、研修報告書の作成を通じて、社員が研修からどのように学び、それをどのように組織全体で共有していくかを見つめ直します。その中で、研修報告書の作成にどういったポイントを持っていくべきか、またどのようにしてそれを実行に移すべきかについて具体的なアドバイスを提供します。
社員一人ひとりの学びが組織全体の成長につながる、そんな可能性を引き出すツール、それが研修報告書なのです。それでは、ビジネスの場において信頼を得ることのできる報告書の作成手順を学んでいきましょう。
研修報告書について

研修報告書を一言で説明すると、社員が受けた研修の概要や学んだこと、さらにはその研修を通じて得た知識およびスキルをどのように職場で活用できるかを整理した文書です。報告書には単に個々の研修参加者の学習結果を記録するだけでなく、組織全体で研修の効果を理解し、今後の研修計画の改善に役立てるという重要な役割も果たします。
研修報告書の構成は、一般的には、研修の目的、参加者が学んだことや発見、そしてそれらがどのように日々の業務改善につながるかを記載します
このような報告書は、組織の別の部署や他の社員への共有、もしくは研修の効果の検証のために使用されることもあります。つまり、研修報告書は効果的なビジネスミュニケーションの一部とも言えるのです。
報告書を作成するにあたり、研修の内容を明確に理解し、他の人に伝えられるようにすることは重要です。これにより、組織全体として研修の目的と結果を理解し、それを活用することが可能になります。
研修報告書の目的

研修報告書には、「研修の内容の検証と今後の業務の改善」、「研修内容の共有」という、大きく分けて二つの目的があります。
研修の内容の検証と今後の業務の改善
一つ目の目的は、研修の内容とその効果を検証し、今後の改善につなげることです。研修報告書を通じて、社員がどのようなカリキュラムを学び、どのようなスキルや思考方法を獲得したのかを明らかにすることができます。
さらに、その学びが日常の業務にどう影響を及ぼすか、また、期待した成果にどの程度対応しているかを評価することも可能です。
これらの情報は、研修プログラムの有効性を評価し、今後の業務において必要な改善点を見つけ出すのに重要な手がかりとなります。
研修内容の共有の重要性
第二の目的として、研修で得た知見を組織全体と分かち合うことがあげられます。報告書を通じ、研修で得た知識が他のチームメンバーと共有され、それにより企業のナレッジが豊かになります。共有することで、研修に出席しなかったメンバーも新しい情報や知識を獲得でき、企業全体の成長と進歩が促進されます。
だからこそ、研修報告書は単なる書類ではなく、組織の進歩と発展を後押しする重要なツールと言えます。
研修報告書の作成ポイント

研修報告書を有効に作るためには、以下の6つの視点を考慮に入れると良いでしょう。
研修の狙いとゴールを把握する
研修報告書の作成の最初の一歩は、研修の目的と目標をはっきりと理解することです。それにより、自分が習得した内容が研修の目的と一致しているか、またゴールに対してどれくらい達成したか評価する基準が明確になります。
研修中には学んだポイントを記録する
研修中に、学びや気づきをタイムリーにメモすることが大切です。これにより、研修終了後の報告書作成時に具体的な内容を思い出せずに困ることがありません。
学んだことや気づきを具体的に記述する
報告書では、自身の学びや気づきを具体的にかつ詳細に記述します。その際、講師ならではの例や研修中のエピソードを交えると、より高い解像度になり、読み手が理解しやすい報告になります。
レポート作成の基本ルールを守る
研修報告書はビジネスレポートの一種です。だからこそ、ビジネスレポート作成の基本ルール、明瞭な構成、簡潔な表現、正確な情報を記すという最低限のルールを守る必要があります。
読者にとって理解しやすい構成を心掛ける
報告書は他のビジネスパーソンが読むことを目的としています。そのため、読者が理解しやすい構成を意識し作成することが大切です。情報の優先度を設定し、重要な点を強調し、適切な見出しを使用して情報を整理すること、論理的な構成にすることが求められます。
研修の成果をどう業務に活かすか考える
最後に、研修で得た学びをどのように業務に応用するかについて、具体的に考えます。これにより、研修の成果が実際の業務にどのように反映されるかを可視化し、自身の成長と進歩を他の人と共有することが可能となります。
研修報告書の作成手順

研修報告書を作成することは、習得した知識をどのように実業務に適用するかを考える絶好のチャンスです。以下に、効率的な報告書の作り方について3つのフェーズをご紹介します。
記述する項目の選定
まず、報告書にどのような項目を掲載するかを選検討します。研修の概要、自身が得た学び、それが実際の業務にどう影響を及ぼすか、そして今後の改善改良に向けた手段を書くことが一般的とされています。具体的な項目は研修の目標や形態によるところが大きいですが、これらの基本的な要素は記載漏れのないよう意識しましょう。
学んだ内容や気付きを明記する
次に、研修を通じて得た知識や新たな洞察を具体的に明記します。この部分では、自分の思考や感想を詳述するだけでなく、それがどのように自分の職務やキャリアに対して有益であるかを具体的に解説する必要があります。
レポートのフォーマットを調整する
最後に、レポートのフォーマットを調整します。具体的には、ビジネスの場にふさわしいレイアウトの選択、適切なフォントとフォントサイズの使用、そしてパラグラフや見出しを用いて情報を適切に整理することが必要とされます。
これら3つのフェーズを押さえ、研修で得た学びを効果的に組織全体と共有し、自身の成長のみならず組織の向上に貢献できる報告書を目指しましょう。
研修報告書の例文とテンプレート【ケース別】
報告書の項目について、一例として、本記事では以下を使用していきます。
【項目例】
・レポートのタイトル:○○研修報告書など、研修報告書であることが分かるようにする
・所属部署と氏名:報告書の作成者の所属と名前を記載する
・研修名:具体的な研修名を記載する
・日付:研修を受講した日付を記載する
・会場:研修を受講した会場を記載する
・研修の概要:受講した研修の概要を記載する
・研修の詳細
(1)学んだこと:研修で学んだ主要な知識やスキルを記載する
(2)所感:研修を通じて自身が気づいた事項や思ったこと、いかに業務に生かすかを記載する
新入社員研修
【例文】
新入社員研修報告書
本社 ○○営業部
山田 花子
1.研修名:全社共通新入社員コミュニケーション研修
2.日付:○○○○年○月○日
3.会場:本社 ○○研修センター ○号室
4.研修の内容:
社会人としてのコミュニケーションの心構えを理解する。適切な言葉遣いを学び、ロールプレイを通じて身につける。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:
上司にとって必要な情報は何か考えて報連相をすることが大切。社外と社内、役職によって敬語を使い分けていく必要性がある。
(2)所感:
私の配属先では社内の顧客を相手にすることが多いと配属先から聞いているので、同じ社内であっても営業先と案件関係者とで敬語を使い分けるように意識したい。
マネジメント研修
【例文】
マネジメント研修報告書
本社 ○○経営企画部
鈴木 一郎
1.研修名:新任課長職向けマネジメント研修
2.日付:○○○○年○月○日、○日
3.会場:オンライン
4.研修の内容:
リーダーシップ理論、目標設計、コーチングの基礎を学び、今後のマネジメントに生かす。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:リーダーシップには複数あり、しかも人により最適なリーダーシップが異なる。私のような「サーバント型リーダーシップ」という支援型のリーダーは、部下からの指摘や提案をくみ取りながら、チームをまとめていくことに長けていることが分かった。
(2)所感:
今までプロジェクトの予算管理を担当したことがあったが、部下の育成も踏まえた目標設計を学び、マネージャーの役割をより明確に描くことができるようになった。
四半期レビューにおいては、予算の達成状況という結果を振り返るだけでなく、部下の目標との相違を丁寧に可視化し来期につなげたい。
スキル研修
【例文】
システム開発研修報告書
公共ソリューション事業部
佐藤 次郎
1.研修名:入門者向けシステム開発研修
2.日付:○○○○年〇月〇日
3.会場:○○事業場 ○棟 ○号室
4.研修の内容:
システムの概要、システム開発の工程を学ぶことでシステム開発の基礎を理解する。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:
システム開発の各工程において肝となる視点や注意事項を学んだ。
システム開発について、現場で発生したトラブルの対処方法についてワーク形式で学んだ。
(2)所感:
ユーザー側の視点を学ぶことで、工程において今まで疑問に思っていた作業の目的が明確になった。
トラブル事例を学んだことで、アサインされたばかりの案件について、どのような点を慎重に検討すべきか考えやすくなった。
【例文】
新入社員研修報告書
本社 ○○営業部
山田 花子
1.研修名:全社共通新入社員コミュニケーション研修
2.日付:○○○○年○月○日
3.会場:本社 ○○研修センター ○号室
4.研修の内容:
社会人としてのコミュニケーションの心構えを理解する。適切な言葉遣いを学び、ロールプレイを通じて身につける。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:
上司にとって必要な情報は何か考えて報連相をすることが大切。社外と社内、役職によって敬語を使い分けていく必要性がある。
(2)所感:
私の配属先では社内の顧客を相手にすることが多いと配属先から聞いているので、同じ社内であっても営業先と案件関係者とで敬語を使い分けるように意識したい。
【例文】
マネジメント研修報告書
本社 ○○経営企画部
鈴木 一郎
1.研修名:新任課長職向けマネジメント研修
2.日付:○○○○年○月○日、○日
3.会場:オンライン
4.研修の内容:
リーダーシップ理論、目標設計、コーチングの基礎を学び、今後のマネジメントに生かす。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:リーダーシップには複数あり、しかも人により最適なリーダーシップが異なる。私のような「サーバント型リーダーシップ」という支援型のリーダーは、部下からの指摘や提案をくみ取りながら、チームをまとめていくことに長けていることが分かった。
(2)所感:
今までプロジェクトの予算管理を担当したことがあったが、部下の育成も踏まえた目標設計を学び、マネージャーの役割をより明確に描くことができるようになった。
四半期レビューにおいては、予算の達成状況という結果を振り返るだけでなく、部下の目標との相違を丁寧に可視化し来期につなげたい。
スキル研修
【例文】
システム開発研修報告書
公共ソリューション事業部
佐藤 次郎
1.研修名:入門者向けシステム開発研修
2.日付:○○○○年〇月〇日
3.会場:○○事業場 ○棟 ○号室
4.研修の内容:
システムの概要、システム開発の工程を学ぶことでシステム開発の基礎を理解する。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:
システム開発の各工程において肝となる視点や注意事項を学んだ。
システム開発について、現場で発生したトラブルの対処方法についてワーク形式で学んだ。
(2)所感:
ユーザー側の視点を学ぶことで、工程において今まで疑問に思っていた作業の目的が明確になった。
トラブル事例を学んだことで、アサインされたばかりの案件について、どのような点を慎重に検討すべきか考えやすくなった。
【例文】
システム開発研修報告書
公共ソリューション事業部
佐藤 次郎
1.研修名:入門者向けシステム開発研修
2.日付:○○○○年〇月〇日
3.会場:○○事業場 ○棟 ○号室
4.研修の内容:
システムの概要、システム開発の工程を学ぶことでシステム開発の基礎を理解する。
5.研修の詳細
(1)学んだこと:
システム開発の各工程において肝となる視点や注意事項を学んだ。
システム開発について、現場で発生したトラブルの対処方法についてワーク形式で学んだ。
(2)所感:
ユーザー側の視点を学ぶことで、工程において今まで疑問に思っていた作業の目的が明確になった。
トラブル事例を学んだことで、アサインされたばかりの案件について、どのような点を慎重に検討すべきか考えやすくなった。
以上のテンプレートを活用し、それぞれの研修の内容に合わせて適切な報告書を作成してみてください。
研修報告書の提出先と提出手段

人事部に提出
組織によっては、研修報告書を人事部に提出することが要求されます。これは人事部が従業員のパフォーマンスを追跡し、研修プログラムの成果を評価する役割を担っているためです。提出は、メールや組織内システムを通じて行われるのが一般的で、件名には「研修報告書」や「研修の名称 + 報告書」などと明確に記載することをお勧めします。
直属の上司に提出
研修報告書は、直属の上司に対しても提出が求められる場合が多いです。これは上司が部下の研修内容を理解し、学んだ内容を日々の業務にどう活用するかをサポートするためです。メールなどでの提出のほか、面談やチーム内での報告会というかたちで、口頭で説明する場合もあります。上司から受けた指摘に対する改善方法についても記載できると良いでしょう。
OJTのメンターに提出
研修によっては、OJT(On-the-Job Training)のメンターが割り当てられ、そのメンターに報告書を提出することが求められることもあります。メールでの提出が一般的ではありますが、新入社員の場合には職場の同期と合同で報告会を開催するケースもあります。事前にOJTに相談、確認しておくと準備がしやすくなります。
いずれのケースでも、報告書は研修が終了した直後に提出するのが最適です。これにより、研修の内容が新たなままで報告が可能となり、その成果をすぐに業務に反映することができます。また、報告書のフォーマットや内容について、心配な場合には指導者や人事部に問い合わせておくと良いでしょう。
TOASUのライティング研修

当社TOASUでは、目的別に様々なライティングスキル向上のための研修をご用意しています。
新入社員から未来のリーダーまで、全ての業種・全ての企業規模に対応でき、各企業様のご要望に合わせたカリキュラムのカスタマイズも可能です。
例えば、ロジカルライティング研修では、読み手の目線となることで、書き手の意図が明確に伝わるライティングスキルの習得を目指しています。
具体的には、「何を伝えたいのか理解しづらい」「自分の意図が適切に伝達されない」「文書作成に時間が掛かる」等の問題を解決することを目標としています。
また、論理的なコミュニケーション方法のみならず、読み手の心理面へのアプローチを学び、認識や理解を深める手助けをします。
研修報告書の作成力を上げるためには、報告事項を知るだけでなく、読み手の思考のパターンをつかむスキル、さまざまな立場におけるコンテクストを共通化するといったスキルまで意識することが大切です。新入社員に限らず、社内外のコミュニケーションに課題を抱え悩んでいる方には、研修を受講することもお勧めします。
社内研修や社員教育についてお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。
< ●お問合わせ: https://toasu-gakken.co.jp/contact/ >
まとめ

本記事では、研修の報告書作成の目的や基本的なルールについて確認しました。報告書に記載すべき項目を理解できたという方も、日常的に、他の人の作成した文章を注意深く読んでよい点を取り入れるといった習慣をつけていくことをお勧めします。また、報告書を作成できるようになってからも、定期的に自身が作成した文章を振り返る癖をつけることも効果的でしょう。
この記事を書いた人
栗林 陽
(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター
大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。