新入社員研修カリキュラム~効果を最大化する設計と実行~【事例付き】

新入社員研修カリキュラム~効果を最大化する設計と実行~【事例付き】

新入社員研修は、企業文化や働き方、ビジネスエチケットや特定の職務スキルを教えるという目的を果たします。そして、それぞれの企業や職種によって内容や形式は大きく異なります。

本稿では、新入社員研修の意義と目的、計画・準備、カリキュラム作成の手法、さらには具体的なカリキュラム例や研修を効果的に活用するためのポイントを詳細に解説します。

これから、新入社員研修のカリキュラムを計画する人、既存の研修プログラムを改善したいと考えている人、あるいは新入社員研修の意義を深く理解したいと願っている人にとって、本稿が役立つ情報となれば幸いです。

新入社員研修の目的と重要性

新入社員研修は、新たに組織に参加したメンバーが、企業の文化を理解し、自己を成長させるための基盤を形成する重要なプロセスです。新入社員研修の主な目的は以下の4つに分けられます。

企業文化の理解促進

新入社員が企業のビジョン、ミッション、価値観を理解することで、組織の一員としての自覚を持ち業務に臨む姿勢を養います。

社会人としての意識を高める

学生から社会人へのステップは大きな変化です。新入社員が社会人としての基本的なビジネスマナーや職場での振る舞いを学ぶことで、社会人としてのプロフェッショナリズムを育みます。

新入社員同士での交流

研修を通じて、新入社員同士が知り合い、コミュニケーションを図ることで、組織内のネットワークを構築し、コミュニケーション力を育てます。

ビジネススキルの習得

新入社員が業務に必要な基本的なビジネススキルを身につけることで、業務遂行の基礎を固めます。

新入社員研修は、新たな組織生活のスタートラインとなります。適切な研修を実施することで、新入社員は自己のスキルと知識を強化し、組織としても人材の活用と組織の発展に貢献します。そのため、効果的な新入社員研修のカリキュラム設計は、組織の成功にとって極めて重要な要素となるのです。

新入社員研修の計画と準備

新入社員研修の効果的な運用のためには、計画と準備が不可欠です。以下にてそのプロセスを詳しく解説します。

目標の設定とヒアリング

まずは、研修の目的と期待される成果の明確化が必要となります。特に、目的や目標の設定が必要です。この時点で企業のビジョンや目指すべき姿、新入社員が獲得すべきスキルや知識を明確にします。目標設定は、研修カリキュラムの核となる部分で、その後のプロセス全てに影響を及ぼします。

また、現場の社員や過去に新入社員として研修を受講した社員から、目標に対する効果についてヒアリングし、改善することも大切です。

研修カリキュラムの設計

次に、設定した目標に基づいて研修カリキュラムの設計が行われます。カリキュラムは、新入社員が必要な知識やスキルを習得するための学習プロセスを具体的に示すものです。ビジネスマナーや企業文化の理解、業務に必要な技術や知識の習得など、目標に応じて内容は変わります。

リソースの確保

講師の手配も、研修の計画と準備における重要なステップです。業種によっては、専門的なスキルや知識を持つ社内外の専門家を講師として招くこともあります。新入社員研修は実施時期が集中することもあり、一日でも早くスケジュールを確定し講師を確保することが肝要です。

研修が行われる会場の準備も忘れてはなりません。会場は、新入社員が安心して学べる環境を提供するためのもので、適切な設備と環境が必要です。

研修の告知と参加者の確認

以上の準備が整ったら、新入社員に研修の告知を行います。研修の目的、日程、内容等を明確に伝え、新入社員が研修に望む準備をするための時間を与えることが重要です。

また、参加者の確認も忘れずに行うようにしましょう。新入社員は受講者数が他の研修に比べ多いことに加え、案内の確認や返信等に慣れていない場合があるので、注意が必要です。

新入社員研修カリキュラムの作成方法

研修のカリキュラムは、どのタイミングでインプットアウトプットを入れるかといった細かな設計一つで、その研修の効果を大きく左右します。適切なカリキュラムによって、新入社員は必要な知識やスキルを効率良く習得することができます。以下にその具体的な作成手法とポイントをご紹介します。

カリキュラム内容の設定

まず、カリキュラム内容の設定です。これは研修の目的に応じて行われ、必要な知識やスキルの範囲を決定します。例えば、企業文化を理解し、基本的なビジネスマナーを身につけることが目的なら、学習項目を網羅しつつ演習の時間を設けるなどしてカリキュラムを設計します。特定の職種や部署に配属される新入社員に対しては、その業務に必要なスキルや知識を習得するためのカリキュラムが設定されます。

カリキュラム形式の選定

次に、カリキュラム形式の選定が行われます。これは、カリキュラム内容をどのような手法で教えるかを決定します。例えば、実際の業務を通じて学ぶOJT(On the Job Training)、教室での授業形式のOFF-JT(Off the Job Training)、ロールプレイやグループディスカッション、マイクロラーニング(短い時間の動画を視聴し学ぶこと)といったさまざまな教育手法があります。これらは、教える内容や新入社員の学びやすさ、研修の目標等に応じて適切に選択し、組み合わせることが大切です。

カリキュラム作成時の注意点

新入社員研修におけるカリキュラムの設計は、極めて重要なステップです。新入社員が会社の業務を理解し、社会人として自身の役割を遂行するための指針となるからです。ここでは、その設計の際に重視すべき事項と注意事項を詳述します。

目標と達成基準の設定

まず、研修における目標と達成基準を設定することが肝要です。研修の目標を明確に定義し、その目標達成に必要な具体的なスキルや知識を洗い出します。そして、その達成度を評価する基準も設定します。これにより、新入社員は研修期間中に自身の学習の進行度を確認し、改善すべきポイントや必要な行動を見つけ出すことができます。

必要スキルの確認とカリキュラムの洗い出し

次に、求められるスキルの確認をみていきます。目標達成に向けて必要なスキルを明示し、そのスキルを修得するための学習事項と学ぶプロセスをカリキュラムに反映します。新入社員一人ひとりの理解度や学習スタイルを踏まえ、研修を通じたインプットと復習が可能となる学習環境を提供することが重視されます。

適切なフォローアップの計画

最後に、適切なフォローアップの計画も必須です。研修には、一過性のものではなく、新入社員が自身のスキルを継続的に向上させることが求められます。スキルを身につけるためには、定期的なフィードバックと組織からの支援が求められます。具体的な方法としては、研修後のフォローアップの手順を予め計画し、新入社員が自身の成長を持続できるようにすることが大切です。

新入社員研修プログラムの例

効果的な新入社員研修は、新人が配属される職種や役割に応じて異なる能力や知識が必要です。以下では、営業職、ITエンジニア職、事務職という3つの異なる職種の新入社員研修プログラムの実例を示します。

営業職の新入社員研修プログラム例

営業職向けの新入社員研修では、顧客に対するビジネスマナー、自社について正しく紹介するための企業理解に加え、提案プロセスの理解、商品知識、対人関係のスキル、交渉力の向上といったプログラムを提供することが多いです。

さらに、デジタル化が進む近年では、顧客にオンライン上にてプレゼンテーションする能力や営業ツールの使い方といった研修内容も必要となります。コミュニケーション能力を育む方法としてはロールプレイを用いたり、配属後も継続的にスキルを伸ばしていけるようにOJTを用いるといった、実践的な研修が一般的です。

SEなどの技術部門の新入社員研修プログラム例

エンジニアや開発などの技術職向けの新入社員研修では、技術的なスキルを取得することに主眼を置きます。例えば、プログラミング言語、データベース管理、システムアーキテクチャなど、職務に応じた専門的な知識と技術の習得に注力します。

他方、営業職など他の職種とも連携して仕事を進めるため、問題解決のためのロジカルシンキングや、チームビルディングといったコミュニケーション能力を高めるプログラムも必要です。

研修の実施方法としては、ロジカルシンキングであればケーススタディ、チームでのコミュニケーションであればグループワークを取り入れるとよいでしょう。

技術的な研修には機材が必要となる場合が多いため、研修の企画時に必要な端末の種類や数、オンラインにて実施可能かどうかといった点を確認するようにしましょう。

コーポレート部門(バックオフィス)の新入社員研修プログラム例

スタッフ部門向けの新入社員研修では、組織や職種にもよりますが、OJTに重きを置く場合も少なくありません。経理やデザインといった職種では、配属先にて教育プログラムを提供する場合もありますので、研修のカリキュラムについては配属先との調整を慎重に行いましょう。

コーポレート部門においては、他の職種同様、ExcelやPowerPointなどのOA(オフィススキル)、議事録などのレポート作成、名刺交換や顧客への言葉遣いといったビジネスマナーなどの習得が欠かせません。

さらに、広報など社内の他部門や社外との調整が多い部門では、営業同様にコミュニケーションスキルを学んだり、時間管理などの効率的な仕事の進め方、マルチタスキングの能力などの能力も重要視されます。

新入社員研修カリキュラムを効果的に活用するためのポイント

アウトプットの機会の設定

研修中に受講者同士のロールプレイで演習をしたり、学んだ内容や改善点、今後の目標を共有することで、新入社員の学びが深まります。そのためには、講義を行うだけではなく、グループディスカッション、プレゼンテーション、ロールプレイなどアウトプットする場を設けます。

研修内容の調整

研修を通じて新入社員の強みや弱みが見えてくるでしょう。それに応じて研修の難易度を調整し、学びの効果を高めることが大切です。方法としては、受講者の発表後にフィードバックセッションを設けたり、スキルの高い受講者を同じグループに集めてよりレベルの高いトレーニングを提供することが有効でしょう。

現場の協力を得る

研修だけでなく、実際の業務を通じて学ぶことも重要です。そのためには、職場での継続的なサポートが必要となります。上司からの支援のみならず、メンターシッププログラムを設けることで、同じチームや部署の先輩が新入社員の相談役になり、現場で適応するためのサポートを行うなどの手法も有効です。

効果検証の実施

新入社員研修では、研修の効果を確認し、必要に応じて改善を行うことが重要です。これには、フィードバックの収集、研修後のパフォーマンスの追跡、従業員満足度やエンゲージメントの評価などが含まれます。

まとめ

新入社員研修は、新人が組織とその業務を理解し、自身の役割を適切に果たすための基盤を形成する重要なプロセスです。その目的と重要性を理解することは、効果的な研修カリキュラムを計画し、準備するための第一歩です。

そして、カリキュラムを効果的に活用するためには、アウトプットの機会を設定し、研修内容を適宜調整し、現場の協力を得ることが必要です。さらに、研修の効果を検証し、必要に応じてカリキュラムを改善することも忘れてはなりません。

この記事を書いた人

栗林 陽

(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター 

大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。

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