
メンターは、主に若手の仕事の指導役や精神的な支えとなるなど、世界中の組織や個人によって長年尊重されてきました。しかしながら、一部の人々はこの概念に対して懐疑的で、「メンターは意味がない」と考えることがあります。それでは、その主張は本当に正しいのでしょうか?
目次
メンターとは?
はじめに、メンターとは何かを理解することが重要です。メンターは個人やチームが目指す目標を達成するための支援を提供する経験豊富な人物です。
彼らは知識、スキル、視点を共有し、メンティー(指導を受ける側)の能力を向上させ、成長を促進します。
メンターの語源は、ギリシャ神話「オデュッセイア」において、主人公オデュッセウスがトロイア戦争に出征する際、息子テレコマスの教育と監督を託した「メンター」という人物だと言われています。
現代では、メンターは日本語で、指導者・師匠を表す表現になっています。
メンターについて知りたい方は、別記事「【メンターとは】読めばわかるメンターの基礎知識」にて詳しく解説しています。
メンターは意味ない?
メンターの存在が「意味がない」と感じる人々が存在する背後には、いくつかの理由があります。
他人からのアドバイスに必要性を感じない
近年では、オンラインリソースなどを通じて自己学習をする方法が多様化してきています。さらに、YouTubeなどのSNSを通じて楽しみながら知識を得る機会も増えており、メンターからの助言の必要性に懐疑的な人も出てきています。
メンターとの関係性が良くない経験
メンターとメンティーの関係性がいつも良好なものとは限りません。本来であれば、メンティーの助けとなるはずのメンターも、場合によっては逆効果になってしまうこともあるでしょう。原因はさまざまに考えられ、双方に非があるかもしれませんが、こういった経験をしている人にとっては、メンターは意味がないと感じても不思議ではありません。
メンターの力量不足
企業におけるメンター制度では、若手社員に対して先輩社員がメンターとなるなど、プロのメンターが担当するわけではないことが一般的です。メンター自身も学びながら担当をしているという背景から、自身の経験や知識を適切に伝えることができないこともあるでしょう。

メンターの意味とは?
メンターが意味ないと感じるケースをご紹介しましたが、メンターの意味はこの他にもあります。多くの人々に意味を認識してもらうためには、メンター・メンティーの問題としてだけを捉えるのではなく、運用について考えることが必要でしょう。
新たな視点の提供
メンターは知識やスキルを伝達するだけでなく、メンティーが直面する課題に対して、新たな視点をもたらす役割もあります。問題を解決する存在ではなく、違った視点からも考えられるように促すことは、メンティーにとっても有益でしょう。
例えば、メンティーのキャリアの進展に関することなど、さまざまな角度から考えるために他人の意見も考慮することは意味があることと言えます。
新しい機会の提供
メンターは自身のネットワークを通じて、人脈や考え方など新しい機会をもたらす役割もあります。メンティー個人では知り合うことのない人やモノに触れることで、何かを得るきっかけになるかもしれません。困った時に助ける存在と思われがちですが、日常的にメンティーの成長に意味ある存在と言えます。
メンターの成長
メンティーを支える立場となることで、メンターの成長にも繋がることは、メンターが意味あるものだと言える要因の一つでしょう。メンティーに対する責任感や自身とは違う意見を聞くことによって、日常では得られない経験を積むことができます。

メンター制度を導入することで得られる成果
企業としてメンター制度を取り入れることで、得られる成果もメンターの意味の一つになるのではないでしょうか。多くの企業が取り入れている意味を成果という観点から考えてみましょう。
早期の適応
若手社員のサポート役として、組織の文化や業務の流れを早期に理解することを可能にします。短期間での業務適応や生産性の向上が期待できます。
スキルと知識の向上
多くの仕事において、専門的なスキルやそこで働く上で知っておくべき知識など、就職または異動をしてから知り得ることが存在します。必要な知識やスキルを効率的に習得することを可能にします。
満足度向上
業務やキャリアのサポートがあることで、社員の満足度向上に一役買うことができます。これによって、離職率の低下が期待されます。
リーダーシップの育成
メンターとしての役割を果たすことで、コーチング能力や人材育成の視点も広がります。将来のリーダー候補が育つことが期待されます。
リーダーシップについて知りたい方は、別記事「リーダーシップとは〜さまざまな理論をご紹介〜」にて詳しく解説しています。

まとめ
結論として、メンターが意味ないと感じるケースは、関係性や助言の有効性などが問題となっていました。しかし、その存在意義として、日常的に持っているものを提供するところにもあります。メンターの人脈や経験など、得られるものは豊富にあるでしょう。
困った時の対応ももちろんですが、困った時にどういった振る舞いができるようになっているかは、日常的に得た経験からくるものも多くあると思います。
また、実際に導入している企業が得ている成果にも目を向けると、その意味がわかってくるかもしれません。
今回ご紹介した成果以外にも得られるモノもあると思いますが、多くの企業にとってニーズの高い成果ではないでしょうか。全てがうまくいくわけではありませんが、メリットは確かにあると言えます。
メンターが意味ないと感じる人も、メンターの意味をもう一度捉え直して接してみると有意義な部分を見つけることができるでしょう。
この記事を書いた人
栗林 陽
(株)TOASU DI室リーダー/チーフディレクター
大学卒業後、大手IT業界、海外経験を経て現会社へ入社。日本の継続的、健康的な成長を願い、企業向け研修の企画、営業に従事。その後、営業だけでなく0からの研修企画、作成が認められ、社内での新規事業のリーダー職を担う。現在は「チーム」へ向けた今までにないサービスを作成中。座右の銘は「少しでも良い社会のために」。本業の傍ら、地域活性にも参画。大学まで続けたサッカーは今でも毎週行っている。