
目次
OJT研修とは
OJTとは「On The Job Training」の略称で、実務を通して学んでいく教育方法の一つで、主に新人向けに多くの職場で用いられています。
第一次世界大戦中・アメリカの造船所で大幅な増員をする際に、いち早く教育する方法としてOJTが生まれました。
一方でOFF-JT(Off the Job Training)と呼ばれる座学を中心とした実務とは離れた場での人材教育もあります。
職種によってはこの2つを併せて行うと効果的と言われていますが、平成30年の厚生労働省の発表したデータではOJT研修を重視しているという答えが圧倒的に多い結果となりました。

OJTとコーチング・メンタリングの違い
この三者はよく比較対象になりますが、それぞれの意味や目的を整理していくことで違いが見えてくるのではないでしょうか。
コーチング
対話等を通して相手の目標達成の支援を行います。仕事上の関係でも成立し、両者の関係性は一般的には対等とされています。
メンタリング
仕事時以外のプライベート面も支援の対象となり、成長支援を行います。関係性は支援対象の少し後ろをいくようなイメージです。
OJTは関係性として上下関係であるのが一般的で、関係性の違いで考えると三者の違いが分かり易いかと思います。
コーチングについては、別記事「コーチングのやり方 これだけは抑えておきたい情報」、メンタリングを行うメンターについては別記事「メンターとは 読めばわかるメンターの基礎知識」をご覧ください。

OJT研修の目的
新人・新任の社員を戦力に
会社や部署での働き方やツールの使い方など、働きながら覚えていきます。
コミュニケーションの不安解消
新しい環境での悩みとして、人間関係は上位にくるのではないでしょうか。
OJT研修では多くの場合担当者が選任されているので、わからないことを聞く相手も明確化されるなど、不安の軽減にもつながります。
研修担当者の成長
人に教えるということは、場当たり的なことではうまくいかないことは想像に難くありませんよね。担当者が計画的に成長を促すためのプロセスを準備しなければ成果にたどり着くことは困難になり、ひいては担当者の成長にもつながります。

OJT研修の問題点
研修担当者によって指導の質が違う
実務を通して学べることで即戦力の育成が可能になりますが、担当者の力量の差が指導の質に大きく反映されると言われています。
大勢が一斉に学ぶOFF-JTは、こう言った面では社内で大きな差が生まれにくいといえるでしょう。
研修担当者の負担が大きい
担当者だけに任せるのではなく職場全体でサポートしていくことは重要です。
担当者は通常の仕事と兼務して行うことがほとんどと言われており、不満の声が漏れてくる事もあるでしょう。
OJT研修のポイント
進め方
①Show(やってみせる)
まずはやってみせる事でその仕事の全体像をイメージしてもらうことが大切と言われています。職種によっては動画で繰り返し見られるようにする事も効率的かもしれません。
②Tell(説明する)
なぜこの仕事をするのかといった背景の部分まで理解を促すと良いでしょう。
場合によっては繰り返し伝えるなど、理解度の向上に努めます。
③Do(やらせてみる)
なるべく1人でやらせてみる事で問題点が分かりやすくなると思います。
プレッシャーをかけすぎないように横についてあげるなど配慮しながら慣れていけるようにサポートしていきましょう。
④Check(指導する)
ここまでの評価を具体的に伝えて、次のサイクルに繋げていきます。
指摘をする事はもちろんですが、良かった点をしっかりと伝えるなどモチベーションを高める事も効果的です。
取り組み方のポイント
①意図的
研修開始時点で担当者も含めた双方の目標・ゴールを決めて取り組むことを、ここでは意図的と表現しています。
ゴールを具体的に決めて、そこに向かって取り組んでいきましょう。
②計画的
事前に計画を作成しておきましょう。
理解度等によって進み方が変わってしまったり、計画通りに進めない時もあると思いますが、都度計画を練り直してゴールに近づけていきます。
③継続的
Doの結果、再度取り組んだ方が良いと判断する項目もあると思います。
そういった場合にはCheckをした上で、継続的に研修を行っていきましょう。重要な仕事ほど時間がかかる事も多いので、しっかりと練り直してチャレンジできると成功に近づくかもしれません。

指導体制をどう作る?
担当者の時間確保
担当者が自分の仕事で手一杯という状況では、効率よく進めることはできません。まず担当者の業務を適切な分量に見直しを行いましょう。
担当者の能力
担当者の力量が研修結果に大きく影響することは前述した通りです。そういった場合には、担当者の育成やマニュアルの作成などの整備を検討してください
担当者の意識
担当者の中で部下の育成は優先度が低くなってしまうことがあります。
普段の業務での成果が自身の評価にとって最も影響する部分なので、起こりうる事態とも言えるでしょう。担当者の意識を育成のほうに持ってくるには、評価制度の上位に育成成果を持ってくるなどの配慮も手段となります。
まとめ
ここまで基礎知識から進め方や取り組み方などを解説してきました。
成果を上げるプロセスやマニュアルが出来上がれば有益なものになると思います。
ただプログラムの作成や通常業務との兼務による業務過多、担当者の育成など課題も少なくありません。
成果を上げていくためには、指導体制の構築や評価制度の見直しなど会社制度の整備も重要な役割を果たすのではないでしょうか。OFF-JT等と併せて行ったり、外部のプログラムを導入する事も手段として考えられるなど、やり方は様々にあると思います。
