CASE STUDY

事例紹介

トルコ人社員の心をとらえた「HOURENSOU」! TOASUが実施したローカライズ研修が、満足度9割を超えた理由とは?

会社名
住友ゴム工業株式会社

2024年10月、住友ゴム工業株式会社トルコ工場で日本式の企業研修が行われました。この研修は株式会社TOASUが提供する「タイムマネジメント研修」をローカライズしたもので、トルコ現地で働く社員約210人が受講しました。

日本の研修は海外の工場でどのように活用され、どう受けとめられたのでしょうか。

日本の研修が海外へ

事の始まりは、TOASUが所属する学研グループの現地法人・学研トルコが住友ゴム工業株式会社トルコ工場(以下トルコ工場)から研修の相談を受けたことでした。

トルコ工場は2015年に操業を開始し、対トルコ国内およびヨーロッパの基点として自動車タイヤの製造を行っています。2017年には完全ゼロエミッション、2020年には工場排水の100%リサイクルをそれぞれ達成するなど、地域社会に信頼される会社として現地での貢献活動にも熱心に取り組んでいます。

そんなトルコ工場ですが、解決すべき課題がいくつかありました。そのひとつが「生産性の向上」です。
大なり小なりどの会社にも存在する課題ですが、トルコ工場では特に社員の業務処理能力に悩みを抱えていました。
チームで働くには、まず一人ひとりのスケジュール管理が不可欠です。しかし社員の一部には、仕事の緊急度や重要度の判断基準が明確でなく優先順位をつけることに苦手意識がある、予定外に発生した業務にうまく対処できずストレスを感じがちである、一部業務の遅れが他社員にまで波及してしまうことがある、といった状況が見受けられました。
今後の活躍が期待される社員たちに対し、ジョブコントロールのトレーニングをしたい。その要望にマッチしたのが、社会人教育領域を担うTOASUが持つ「タイムマネジメント研修」だったのです。

タイムマネジメント研修とは?

TOASUのタイムマネジメント研修は、元々は個社向けにカスタマイズしたオリジナル研修として、若手〜中堅社員向けに企画されました。仕事力の強化を目的に、業務の効率や生産性を高めるための手法を学ぶものです。

自身の時間の使い方を振り返るところからスタートし、手持ちの業務の把握、さらにピックアップと並び替え、優先順位のつけ方を習得。ガントチャートなどの具体化まで落とし込む方法を学びます。
さらには、自身の考えで組んだ日程が会社にとっても理想にかなうものか、実行と見直しの視点の強化も行います。会社というチームで働く際には、個人だけではなく他者の業務も考慮した管理が必要とされます。プランの調整やその働きかけ方まで含め、会社としての最適化にも重点を置いた進行手法を身につける内容になっています。

ローカライズ=翻訳、ではない

タイムマネジメント研修をトルコ工場向けにローカライズするにあたり行ったのは、ただ翻訳するだけではありません。3点ほど乗り越えたミッションがありました。

まず1点目は研修のタイムスケジュールです。本来は2日間に分け、1日目は個人業務日程の整理、2日目は会社全体に目を向けた業務の再整理と進行という構成をとっていますが、今回は1日間で完結するよう設計することになりました。
それにあたり、研修内容は1日目のものを中心に新たに再編成。構造とキーワードの洗い出しから行い、シンプルでわかりやすいアプローチを目指しました。

2点目として、現地の課題の抽出があります。普段、研修を企画する際にはエンドユーザーである受講者や人事担当者に直接話を伺い、各企業が持つ課題に寄り添った内容を組み立てていきます。
今回は海を隔てていることもあり、学研トルコが基本的なヒアリングを行いました。トルコ工場が抱えている課題を丁寧に汲みあげていき、研修の目的、期待する成果を共通認識として固めた上で、提案およびアレンジを進めていきました。

3点目は理念の共有です。学研トルコと協力し、実際に講義を行う現地の講師に対して、日本でタイムマネジメント研修を担当する講師が重要視する理念や手法などのレクチャーを3日間かけて行いました。
また同時に、その場で出た意見を取り入れ改定も進めました。そうすることで、単なる翻訳版ではなく、研修が本来持つ重要なエッセンスを守りつつ、現地ならではの視点を取り入れたローカライズ版が完成したのです。

実際の研修で使用された資料より

タイムマネジメント研修@トルコ

ここからは実際の研修内容と受講者の様子を紹介します。
先述の通り、タイムマネジメント研修の核でもある時間管理とそのアプローチとして、まずは自身の業務について把握することが重要です。
受講者はまず自身の業務を列挙することで正確な把握に取り組みました。続いてタスクにブレイクダウンし、実際に1件ずつ付箋に書き込みます。ここで講師のアドバイスを受け、将来発生するであろうタスクも予測、追加していきます。

タスクを付箋に書き出した後はグルーピングです。まずはそのタスクが定期的に発生するものか流動的なものかを判断し、後者は重要度と緊急度の基準で捉えて、付箋をマトリックス表に配置していきます。普段からの業務という具体例を使って手を動かすことで、優先順位のつけ方にリアリティを持って向き合うことができ、より確かな習得に繋がりました。

さらに、ひとつのチームとしてロールプレイングするグループワークも行いました。10人弱のメンバーは企画、エンジニアリング、品質管理など、普段は異なる部署で働いています。
お題はとある仮想プロジェクトの実施。行うべきタスクとその具体的な業務内容、締め切りを決定し、さらに各タスクには担当者も設定します。

担当者として各自の立場から意見を出し合い、タスクの関係性や順番、優先順位を考えながらガントチャートに落とし込んでいきます。自身だけではなくもう一回り広く把握するチームの視点を養い、将来的には会社全体のプロセスや計画まで構想を広げられるようになることを目的としています。

そして実は、今回の研修でキーメッセージとして設定したのが「HOURENSOU」、つまり報連相でした。

実際の研修で使用された資料より

それぞれを英語でReport、Contact、Consult、トルコ語でRapor,İletişim, Danışmakと訳し、タイムリーな情報共有はチームの、ひいては会社の進行管理に非常に役立つ行動であることを強調。実際にグループワークにおいて各々のタスクについて「報連相」することで、実務につながる経験を得ることができました。

また、現地の講師からの意見を取り入れ、タイムマネジメントを身につけることで仕事を効率的に進めることができるようになる、ひいては自身の生活にも好影響がおよぶことにまで言及しました。日本よりもプライベートを重視する考えが強いことから、仕事の充実が自身のためになることを強調し、より受け入れやすくなるよう現地の感覚にチューニングしたのです。

研修を受講者はどう受けとめたか?

研修後、受講者に対しアンケートを実施しました。

研修の満足度を聞くと、9割超が「とても満足している」など非常にポジティブな回答でした。
時間管理や報連相、ガントチャートといった概念や手法に初めて触れたというコメントも多く、受講者にとって新しい学びのある研修であったことがうかがえます。

講師のセルクット氏(左)と受講者たち

また、
「自身のチームには報連相が足りていないことがわかった」
「仕事の優先順位のつけ方は今後の仕事で役立つと感じている」
「時間を有効に使うため、タスクを区切り優先順でこなすことを実践していきたい」
と、実務の振り返りや今後のアクションに繋げる意見も多く寄せられました。研修の目的であった、ジョブコントロールによる「生産性の向上」を推進する考えが生まれたことを、TOASUとしても大変喜ばしく感じています。

今後のTOASUと世界

今回のトルコ工場の研修を通して彼らの理念とジョブを知ることは、TOASUとして日本的生産システムの強みを再認識することでもありました。そしてその日本的生産システムを支えるために、タイムマネジメントを始めとした仕事の進行手法、および人材育成は欠かせないものであると改めて確信しました。

今後も日本はもちろんのこと、世界で活躍する企業に対しても、TOASUは「人材課題の解決」で貢献していきます。

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