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研修コラム

階層型組織の業務効率をどう改善する? ナレッジマネジメントの実践法【セミナーレポート】

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 TOASUでは皆様の人材育成に関する疑問・悩みを解決するためセミナーを開催しています。また過去のセミナーについてはアーカイブ動画を提供しております。

 今回は2024年7月10日に開催した「ヒエラルキー組織における階層別ナレッジマネジメント成功術」から概要レポートをお届けします。

セミナー概要

 登壇したのは、TOASU執行役員の石毛信行です。本セミナーは以下の章に沿って進みました。

1.はじめに
2.ヒエラルキー型組織における情報管理の課題
3.ツールを活用した業務効率の改善方法
4.「ASUBeTO」とは
5.事例紹介
6.Q&A(質疑応答)

 まずヒエラルキー型組織における情報管理の課題を提示した後、それをツール活用によってどのように解決し、業務効率を改善するのかを解説。また、TOASUが提供しているLMS(学習管理システム・Learning Management System)サービス「ASUBeTO」を実際の活用事例とともに紹介しました。

企業における情報管理の課題

 セミナータイトルにもなっている「ナレッジマネジメント成功術」について説明する前に、前提であるヒエラルキー組織における情報管理の課題を分解していきます。

 「ナレッジマネジメント」とは、各従業員が得たナレッジ=業務経験、知識、技術、ノウハウなどを企業として共有・活用する経営手法のことです。
 そしてヒエラルキー型組織は、その名の通り明確な階層構造を持つ組織形態を指します。広く想像されるのは、上位の管理職が意思決定を行い下位の従業員がそれを実行する上意下達の構造でしょう。

 ナレッジマネジメントの実現を前に、このヒエラルキー型組織では以下のような課題が存在すると想定されます。

ヒエラルキー型組織の主な課題

①情報のサイロ化
組織の各部門が独立して情報を管理するため、情報が分散し、全社的な視点での情報共有が難しくなる。

②情報の遅延伝達
階層が多いため、情報がトップからボトム、またはその逆に伝達される際に遅延が発生しやすく、タイムリーな意思決定が困難になる。

③コミュニケーションの断絶
階層間でのコミュニケーションが不足し、現場の重要な情報やニーズが階層間で伝わらず、指示や方針がそれぞれに浸透しにくい。

④情報の重複と矛盾
部門間ごとに独自の情報管理システムやプロセスを持つことが多く、情報の重複や矛盾が発生しやすい。

⑤アクセス制限の過剰
セキュリティや権限管理の観点から情報へのアクセスが過度に制限される場合、必要な情報に迅速にアクセスできず、業務効率が低下する。

⑥情報の過剰管理
各階層での承認プロセスが多いため、情報の管理に時間とリソースがかかりすぎ、迅速な対応が難しくなる。

⑦知識の属人化
個人の経験やノウハウとして蓄積される暗黙知が共有されない。また文書化やノウハウ化されないため、軽視されやすい。

⑧トップダウンの情報整備
情報の流れが一方向(上から下)になりがちで、現場からのフィードバックや創造的なアイデアが取り入れられにくい。

⑨デジタルツールの活用不足
古いシステムやツールが使われ続ける。同様のツールが重複していることが多く、新しいデジタルツールの導入や活用、業務の効率化が進まない。

⑩文化的な抵抗
新しい情報管理の方法やツールを導入する際に、従来のやり方に固執する文化的な抵抗が強く、変革が進みにくい。

課題解決のため必要なもの

 ヒエラルキー型組織が持つ課題を解決するため、特にナレッジマネジメントという観点では「学び合える、知識をシェアできる組織づくり」が必要です。

 では、学び合える、知識をシェアできる組織を作るためには何が必要なのでしょうか。
 石毛は取り組みの例として、オープンなコミュニケーション文化の醸成、適切なツールやプラットフォームの導入、インセンティブ制度の整備・充実、リーダーシップの役割の設計などを挙げ、それらに継続的に取り組むことで、組織全体が協力し合い持続的に成長する文化を築きあげることができるのではないかと述べました。

 効率的な情報共有、従業員の成長、リスク管理、顧客満足度の向上。ナレッジマネジメントの実現はさまざまな面で組織にとって大きなメリットをもたらします。組織作りは組織全体のパフォーマンスを向上させるための重要な要素のひとつなのです。

学習意欲・共有によって生まれる差

 ここで、ナレッジマネジメントの重要性がうかがい知れる背景として、学習意欲・学習共有に関する調査が提示されました。

 まず就業者の学習行動について、業務外では6割弱が「学習していない」こと、また過去3年の間に研修を約7割が「受講していない」ことが明らかになりました。学ばない、もしくは個人で学習していても組織では明らかになっていない、知識が共有されることが少ない。詳細なデータからはそういった状況が読み取れます。
 加えて、独学・現場バイアスが強い組織では学習が共有されず、逆に活用・共有文化が高い組織は学びの自己意識が強く積極的に共有される傾向がありました。

 ヒエラルキー型組織、特に企業においては業種や職種、つまり小さい組織が複雑に重なり合っています。よって、共有・学習文化も普及の程度には当然ばらつきが出てきます。
 そういった部署間の格差をどのように解決していくのか。これが、石毛が掲げた本セミナーの主題です。

セミナーの動画本編はこちら

 以降では、ツールを活用した業務効率の改善方法、TOASUが開発した「ASUBeTO」の強みと他社の活用事例などを紹介しました。ご興味のある方は、ぜひアーカイブよりご覧くださいませ。


「ヒエラルキー型組織における階層別ナレッジマネジメント成功術」アーカイブページはこちら >>

 またTOASUで開催した他セミナーもアーカイブをご用意しております。合わせてチェックをよろしくお願いします。

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