COLUMN

研修コラム

社内試験は「選別」ではなく「測定」。企業成長につながる“オーダーメイド作問”とは

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TOASUの社内試験支援サービス「GROWTH LOOP」は2025年4月にリリースし、まもなく1周年を迎えます。入社試験、昇格・昇級試験、職種転換試験、社内検定試験……さまざまな目的で実施される社内試験を、設計や問題作成、採点・アドバイスまでワンストップでサポートし、担当者の負担を大幅に削減しつつ、精度とクオリティの高い試験を実現しています。

今回は、GROWTH LOOPを担当する試験コンテンツ編集チーム 編集長 能登陽介にインタビュー。社内試験が持つ効果から「外部に作ってもらうべき」と主張する理由、他社にはないGROWTH LOOPの特長など、詳しく伺いました。

社内試験支援サービスができた理由

―少し早いですが「GROWTH LOOP」サービス1周年おめでとうございます。

ありがとうございます。早速で恐縮ですが、実は社内試験の作成自体はGROWTH LOOPのリリース以前から行っていたんですよ。

―えっ。

TOASUは、前身である日本科学技術振興財団の創立から60年以上、企業研修に携わっていますが、その中で「研修とともに試験も作ってほしい」という声が多く寄せられていたそうです。当時は試験を作るノウハウを持った社員もいて、超専門的な内容の技術試験から、官公庁の採用試験まで、さまざまな試験を作っていました。ただ情勢の変化や社員の移り変わりなどもあって、近年はほとんどの試験案件が、既存のお客様からご要望があった場合に対応するものでした。
しかし数年前に大型試験の作成をすることになり、組織や人員を整えました。そこでわかったのが、専門的な試験の作成を受けてくれる業者が世の中にほとんどいないということでした。

これはさらに言えば、試験作成がパッケージ化されていないということです。つまり、GROWTH LOOPは実は新規事業ではなくて、以前から持っていたサービスを、現代に合わせてパッケージ化してわかりやすくしただけなんです。

社内試験はなぜ必要なのか?

―「現代に合わせて」というのは、どういう状況を指すのでしょうか。

まずは社内試験の時代背景について説明しますね。

正確な数字ではないかもしれませんが、恐らく20年ほど前に、多くの企業がペーパー試験からヒューマンアセスメントに移行した時期があるんです。暗記中心の、受験のような試験の“点数”ではなく、資質や行動を見ようという社会の流れです。
とても大切なことですが、一方でヒューマンアセスメント“のみ”になると、測れないものが出てきてしまいました。自身の業務に必要な基礎知識であったり、業界動向や法制度であったり、さまざまですが、つまりはその役職や階級で持っていなければならない知識です。
これは極端な事例ですが、人柄や営業成績の良さでリーダー層やマネジメント層になったものの「原価計算ができません」「36協定って破るとどうなるの」と、役職に必要な基礎知識が全く足りない状態で、当然ながら部署の運営管理ができず崩壊する、ということが起きてしまったという話も聞きました。

そこから最低限のナレッジは持っていなければならない、つまり「従来の定量的に知識を測る試験も必要だ」と揺り戻しが起こってきました。
とはいえ、ペーパー試験ではアセスメントが担ってきた演習を通じた表出行動の把握はできない。そのため、ペーパー試験とアセスメントを組み合わせましょう、というのが近年の流れです。

―社内試験は「知識の最低限を保証する」意味を持つんですね。

ただここで勘違いしてほしくないのが「社内試験はふるい落とすためのものではない」ということです。選別の一面を持つのは確かですが、それだけを目的とした試験になってはいけない。
とは言うものの、多くの企業ではそうなってしまっているというのが、一番の課題だと思います。

―選別ではないとすると、社内試験とは何なのでしょうか。

人材要件を測定する仕組み、つまり「チェックポイント」です。

社内試験はあくまでラーニングジャーニーの一部分で、“知識の習得状況を測りましょう”という、ただそれだけの話なんです。たとえば80点で合格の試験なら、80点を取って合格したからよいということではなく、残り20点分足りない知識がある事がわかったということですし、60点で不合格だったからダメ、でなく、40点分の足りない知識が何なのかを知ることができたという捉え方をするのが望ましい姿だと考えます。

重要なのは受かることではなく、チェックポイントとして機能すること。ここが社内試験の本質です。

社内試験は「外部に出すべき」である理由

―社内試験の本質が「チェックポイント」であるというのは、意外に感じる方が多そうです。

これまで、さまざまな企業からお話を伺いましたが、試験がチェックポイントとして機能するには「設計ができているか」が重要なんです。

社内試験は人材要件を測定する仕組みのこと。であれば、対象に求める知識・能力が明確に定義され、それを測定できる試験でなくては意味がありません。
たとえば「課長に上がる人のロジカルシンキングスキルを確認したい」なら、そもそも「自社の課長職にはロジカルシンキングスキルが必要である」という人材要件を固めていなければなりません。それに則り、ロジカルシンキングスキルが身についているかを測定する試験を作るわけです。
でも現実は、「定例の課長昇格試験を6月に実施しなければならない」「例年ロジカルシンキングの試験をやっているので、今年も実施する」など、納期や作業が先行してしまうようなパターンが多いのも実情です。この場合は、その企業や経営陣、人事部の方が持つ本当のニーズや困りごとをヒアリングするところから支援させてもらっています。

―「とにかく急いで社内試験を作ってほしい」というニーズの前に、そもそも社内試験の作成を外に出していいのか?という不安な声もありますよね。

確かに社内試験は企業の内部情報に触れるのでそういった意見も伺いますが、それに対して私は「出さない方が危ないですよ」と伝えています。

―ぜひ詳しくお願いします。

社内試験を誰が作成しているかというと、人事部、事業部の部長や役員、外部(出入りの会計士や法律事務所の先生)、大きく分けるとこの3つです。

中でもおすすめしないのは人事部が作ることです。人事部は採用や給与など、センシティブで多くの仕事があり、それと並行して社内試験を作るというのは無理があります。また、試験の作成には知識も技術も必要なので、そういう意味でも人事部で抱え込まない方がよいとお伝えしています。
それならば事業の知識がある部長に作ってもらいましょうとなるわけですが、するとまず業務の時間を奪ってしまうことになる。人によって問題のクオリティに差も出ますし……。あと、最大の問題は情報漏えいです。

―情報漏えいですか。

悪気はなくとも、飲みの場でチームの部下にアドバイスみたいに出題範囲を言ってしまったり、昇進させたい候補者に過去問を渡してしまったり。こういった漏えいをなくすには第三者、外に出すしかありません。
第三の選択肢である会計士や法律事務所の先生でもよいのですが、試験作りの専門家ではないですし、担当分野以外の試験の知識があるとは限らないので、やはり試験作りのプロに出す方がよいと思います。

―餅は餅屋というわけですね。

出来合いの試験を採用するという手もありますが、せっかく時間と手間とお金をかけて試験を行うわけですから、その企業ならではの知識・能力を測ることができる試験を実施した方がよいと思います。

我々の提供するGROWTH LOOPは完全な外部であり、さらにカスタマイズ型です。取材をして、企業特性や人材要件を理解して、統合レポートの情報や、時には社長説示などを組み込んで、あなたの会社のために、あなたの会社が欲しい価値を生み出すための社内試験を作ります、と。いわばオーダースーツですね。これがGROWTH LOOPの特長です。

GROWTH LOOPの一連のプロセス

―ではここからはGROWTH LOOPの基本のサービスの流れを教えてください。

中心となるのは「設計」「作問」「実施」「採点・分析」の4フェーズです。まずは「設計」フェーズで、試験の方針、つまりどういった人材になってほしいかを定義して、その上で難易度や構成、試験方法、内容を決めていきます。

試験支援サービスの流れ

 

続いて「作問」フェーズでは、設計で決めた要件に合わせて問題を作成、編集します。基本的な試験の構成は ①自社理解問題 ②必要スキル問題 ③時事問題で、各問題数や配点はご要望に応じて変動が可能です。

「①自社理解問題」は、事業成績、商品理解、現場知識など、事業に密接した項目で、こういった、自社に則したどこにもない試験を作れるところこそ、GROWTH LOOPにしかない強みだと考えています。

「②必要スキル問題」はロジカルシンキング、コーチング、専門知識など、求める人材に必要な定性的なスキルを問うものがベースですが、“土木建築の知識”であったり、“化学工学の知識”であったり、“プログラミングの実技”であったりと、超専門分野の試験を作ることができるのが、長年試験作りをやってきたTOASUの強みですね。

「③時事問題」は市場動向や法改正などの世間的な話題を中心に、社内報のような自社ローカルのネタも加えることもありますし、自社が所属する業界の業界新聞などから問題を作ることもあります。

―まさに「オーダースーツ」ですね。

次の「実施」フェーズは、基本的に自社でお願いしています。ご要望があればTOASUでも対応可能ですが、受験者の日程調整などは自社内で作業いただいた方が早く進みますので。

そして「採点・分析」フェーズですが、私は採点を最も重要なフェーズぐらいに思っています。なぜなら、採点結果はその人のキャリアや報酬に直接影響しますから。

―確かに、結果次第でまさしく人生が変わると思うと……。

ただ、見誤らないでほしいのですが、正確に採点することが最も重要ではないんです。もちろん正確さは大切ですが、それ以上に“採点基準”を作り、一つの指針に沿った揺れのない採点をすることが重要です。採点基準が正しく設定されているからこそ、正しく測定結果が出て、正しく人材を育成できる。採点基準をきちんと作らないまま、スピードや正確性だけを求めて採点することだけに注力していると、受験者の納得感が得られません。

そういう意味でいくと、まずは受験者の学習があり、それを評価する基準を作り、そこから試験を作るという流れは、学校教育と似ているかもしれません。TOASUは学研グループの一員ですので、学びや教育については自信を持っています。

エンゲージメントを下げる社内試験にしないために

―先程挙げられたGROWTH LOOPの特長である「カスタマイズ性」は、設計や作問、採点の技術に支えられているように感じます。

その通りです。繰り返しになりますが、社内試験は現在地を「測る」ためのものです。試験で何を測るのかを決め、さらに測るためにはどのように問えばいいのか?がわかっている。これらは長く参考書などを作ってきた学研、そしてその一員であるTOASUならではの技術です。

社内試験に携わってきて感じるのは、理念設計が不十分な試験は、往々にしてエンゲージメントを下げてしまうことがあるということです。これは先程もお話した通り、社内試験が「ふるい落とす」目的で作られてきたからで、たとえば「本社ビルの高さは?」など、差をつけるための、全く実務と関係ない雑学クイズのような問題が出て、受験者に「この問題に意味はあるのか」と不信感が生まれてしまったという事例を聞きました。人生の重要な転換点である、昇格や昇進試験で生まれた不信感は、大きくエンゲージメントを下げることになり、最悪、退職のきっかけにもなりかねません。

ですから、実務能力の基準をきちんと制定して、実務能力を問うための試験を作らなければならない。実務能力は、営業ならロジカルシンキングかもしれないし、大工ならカンナのかけ方かもしれないし、幹部候補なら社長の経営戦略の理解かもしれない。そこを十分に理解して、方針を設計して問題を作るというのが、プロの仕事だと考えています。

―エンゲージメントとの関連性を考えると、組織開発においても社内試験は大きな意味を持ちますね。

組織開発の視点に加えると、昇格は、本人はもちろん周囲の納得感もないと成り立ちません。「分厚い課題図書を読んで、80点を獲得した」といった目に見える結果が、本人の“自分は頑張った”という自信にもなりますし、周囲からも“あれだけできるのはすごい”という納得感になります。社内試験は、そこを公明正大な、全員が納得できるボーダーとして担保できる力を持っています。
企業の成長には人材の正確な把握が必須ですし、そのためにも能力を数値で明確にするナレッジ型の試験は欠かせないということだと考えています。

成長を促進するための「投資」と捉える

―人材育成としても、組織開発としても、社内試験が当然の施策になってほしいですが、ハードルになっているのは何なのでしょうか。

コストとして認識されやすいところでしょうか。社内試験は一般的な研修等に比べて時間がかかります。GROWTH LOOPでは、ヒアリングから採点・分析までの一通りのプロセスに、最低でも半年はいただいています。また決して安くはないので、人事のご担当からはどうしてもコストに見えてしまいます。
ですので、選別ではなく、企業が欲しい人材を作るための基準として活用すると考えてほしい。そうなれば、社内試験はコストではなく、組織能力を可視化し成長を促進するための投資になります。

―最後に、GROWTH LOOPに興味関心を持たれている方へ一言、お願いします。

社内試験を一から作成するのも、既存のものを改修するのも、自社でやるのは荷が重い業務だと思います。GROWTH LOOPは全工程を統合的にサポートできるのが売りですが、各工程を切り出して、ポイントごとのご相談も受け付けておりますので、設計が固まっていない状況や、採点にてこずっているといった場合でも、まずはぜひお声がけください。

GROWTH LOOPというサービス名には、ラーニングジャーニー上で「学習」と「測定」が循環し成長する仕組みとなるように、という願いを込めています。社内試験を通して、組織の成長循環をぜひ実感してもらいたいと思っています。

TOASUの社内試験支援サービス「GROWTH LOOP」詳細はこちら >>

※職名、サービス内容等は公開時点の情報です。

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