COLUMN
研修コラム
次世代リーダーの育成に取り組む企業は増えています。HR総研の調査「『次世代リーダーの育成』に関するアンケート」によると、大企業では7割、中小企業でも4割前後が、すでに何らかの形で育成に着手しています。

企業規模別 次世代リーダー育成に関する企業の取組み状況・方針(HR総研「次世代リーダーの育成」に関するアンケート 結果報告)
それでも育成にまつわる悩みは尽きません。研修やキャリア支援は用意している。次世代リーダー候補者も真面目に参加している。それなのに、施策の効果がいまいち感じられない。その要因はどこにあるのでしょうか。
期待と環境の間に存在するズレ
同調査によると、次世代リーダー候補者に対して、半数を超える計52%の企業が「具体的で高い期待の明言」を行っています。「経営視点を持ってほしい」「事業をリードしてほしい」――そういった期待は育成方針として候補者にも明確に伝わっており、方向性を共有する上でも重要なプロセスのひとつと言えます。
しかし一方で「意図的な競争環境の提供」に取り組む企業は計40%にとどまりました。つまり、期待は掲げられているものの、それを実感・実行できる場が必ずあるとは限らない状況なのです。

次世代リーダー育成の具体的な取組み・方針(候補者への働きかけ)(HR総研「次世代リーダーの育成」に関するアンケート 結果報告)
候補者は期待をかけられていることは理解していますが、その期待に応えるための「手がかり」を持ちません。リーダーとしての技量を手に入れるために、何をどのように鍛えるべきか、どこまでやれば十分なのか、自身は今どの工程にいるのか。こういった手がかりが見えないとき、人は安全な行動を選びがちです。無理をして失敗するより、現状の延長線で成果を積む方が合理的だからです。その結果、育成を計画する側には「効果が感じられない」という無力感が積み重なっていきます。
期待は、実感・実行できる場とセットでなければ機能しないのです。
次世代リーダー候補者の「評価」に起こること
次世代リーダーの能力を測る「評価」にも課題があります。
次世代リーダー候補者の選抜にあたっては、上司・部門長からの推薦が68%、人事評価結果(業績評価・能力評価)が45%、経営層による指名も33%と、組織内部からの評価・推薦が重視される傾向にあります。

次世代リーダー候補者選抜の方法(HR総研「次世代リーダーの育成」に関するアンケート 結果報告)
これは従来の年功序列型組織の仕組みを考えれば当然の帰結であり、必ずしも悪いことではありません。しかし、社内の評価に依存すると候補者の本当の能力は見えにくくなります。なぜなら、そこには「社内の相対評価」しか存在しないからです。優秀とされる候補者も、あくまで社内における比較の中で優秀なのであり「次世代リーダーとして十分な能力があるか」まではわかりません。ここに、評価基準の不足があります。
もちろん、社内育成そのものが問題なのではありません。社内だけでは測る物差しが限られてしまうと認識することが大切です。そして、物差しを増やすためには「競争環境の提供」が必要になります。
競争は「評価機会を増やす」ためのもの
競争と聞くと抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。心理的安全性の毀損や、協調性を重視した企業文化との反発などの懸念もあるでしょう。
しかし、ここでいう競争とは、勝ち負けを決めるためのものではなく「比較による可視化」を意味します。他者と同じ土俵に立つことで初めて、その人自身の強みや課題は輪郭を持つのです。
例えば、十分と思っていた部分について他者と比較することで不足を見つける。逆に、苦手と認識していたけれど「自分の強みになりうる」と自覚する。こうした気づきは一人では、そして同じ環境下だけではなかなか得られません。多くの企業では候補者を個別に、あるいは自社内の閉じた環境で育てていますが、それは比較という評価の機会を失っているともいえます。
実践の場で「育成の解像度」を上げる
次世代リーダーに求められる力について、座学で知識やフレームワークを教えることはできますが、それを実際の場面でどう使うか、プレッシャーの中でどう判断するかといったスキルは、リアルな状況下でしか露わになりません。
そして競争は単なるアウトプットの場ではなく、育成設計においては解像度を上げるための観察の場でもあります。つまり、育成の手応えが残らないのは、観察する場の不足により、候補者の本質的な力を見極められていないからということでもあります。
競争の現場を観察することで、今後の育成計画への具体的根拠がそろい、自信を持って判断を行えるようになります。しかし観察の機会が限られていると表面的な評価や推測に頼らざるを得ず、結果として施策に確信が持てないまま手応えのなさだけが残るのです。
可視化する際に大切なのは、候補者が「他者と同じテーマに取り組む」ことです。同じケースに向き合い、同じ制約の中で考え、同じ問いに答える。その過程で初めて、思考の深さや視野の広さ、判断の速さといった要素が、比較可能な形で見えてきます。
さらに施策を社内にとどめず社外まで広げると、比較対象が増え、候補者自身も新鮮な環境下で地力が試され、これまでにない視点や手法の獲得といった追加の効果も見込めます。他社と渡り合うようなリーダーを育てたい場合には、複数社合同で実施する外部研修や異業種交流会など、外との接点を意識的に組み込むとよいでしょう。
まとめ
期待を明言され、育成プログラムをそろえても、それを実行・実感できる場がなければ、候補者の行動にはつながりません。また内々だけで育てても、比較対象が限られていれば成果は見えにくいままです。
育成の本質は、「何を教えるか」以上に「どんな環境で経験させるか」にあります。
「効果を実感できない」から抜け出すために必要なのは、育成の「設計」そのものを見直す視点です。そして、その視点は競争、つまり実践と比較の場にこそあります。これから次世代リーダーを育てる、もしくは育成施策を見直す際には「比較を観察する場を十分用意できているか」から考えてみませんか。
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HR総研「『次世代リーダーの育成』に関するアンケート 結果報告」https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=410







